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【社会】

視覚障害陸上 公平性どこまで アイマスク義務化で光遮断 動揺も

2012年のロンドンパラリンピック陸上男子5000メートルで、前方が見えないダークグラスを着用する日本人選手。左の選手たちは全く光が入らないアイマスクを着けている=佐藤春彦撮影

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 毎年秋に開かれる「全国障害者スポーツ大会(障スポ大会)」の陸上競技で、視覚障害の最も重いクラスに課せられた「アイマスク着用」の新ルールに競技者から異論が上がっている。わずかな光を頼りにしてきた選手には、感覚を鈍らせる障害になるためだ。障害者スポーツのあり方を巡り、試行錯誤が続いている。 (神谷円香)

 アイマスクの導入は、光に対し多少の感受性がある選手と、まったく見えない選手との公平性を図る目的。パラリンピックなどの国際大会でも昨年、最も重いクラスは「目を完全に覆う」と厳しくなった。これに対し障スポ大会は、競技性よりスポーツへの親しみを主眼とする大会だ。

 「圧迫感があり、感覚も鈍る。参加に二の足を踏んでしまう人もいるはず」。バルセロナ、シドニー、北京のパラリンピック三大会に出場し、銀、銅のメダルを取った高田晃一選手(51)=千葉県山武市=は五月の県予選で初めてアイマスクを着け、音の方向へ走る五十メートル音響走に臨んだ。これまで使ってきたのは、グラス部分が黒く前が見えないダークグラス。眼鏡のすき間から若干の光が入るため、今年からは使えない。

 明暗の感覚を頼りに生活している高田さんは「パラリンピックの理念は『残された機能を生かせ』。なぜ、さらに見えなくさせるのか」と憤る。六月に都内であった視覚障害者の団体「日本盲人会連合」のスポーツ協議会でも、各都道府県の代表者から「基準はどうなっているのか」と不安の声が漏れた。

 主催する日本障がい者スポーツ協会スポーツ推進課の滝沢幸孝課長は「これまでも、視野の審査が難しいとの声もあった」と説明。従来のクラス分けでは「視野の範囲の程度」も基準にあったが、客観的な審査が難しい面があったといい、「最低限の条件を整え、どこかで線引きしなければいけない」と理解を求める。

 筑波大付属視覚特別支援学校体育教諭で日本ブラインドマラソン協会の原田清生(すがお)常務理事は「完全に公平にはできないが、ある程度決まったルールに沿ってやるのがスポーツ。パラスポーツも同じだ」とアイマスク着用に一定の理解を示す。

 障スポ大会は、多くの人が参加できる大会にするのが理念。全国大会への出場には予選の成績より初出場者優先の地域もあり、障害者スポーツの裾野を広げる役割を果たしている。障スポ大会の陸上競技の成績はパラリンピックの出場選考には加味されない。今年の大会は十月に福井県で行われる。

 

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