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【社会】

「夏休み 終わらなかったらいいのに」 つぶやき気付いてあげれば 青森いじめ自殺・中2の父

葛西りまさん=2016年8月(遺族提供)

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 夏休み後半から休み明けを迎える八月下旬〜九月上旬は、子どもの自殺が一年で最も多くなる。青森市の葛西剛(ごう)さん(40)は二年前のこの時期、中学二年の次女りまさん=当時(13)=を亡くした。いじめを受けながら明るく振る舞った娘の言動を振り返ると「親が気付かなければならないサインがあった」という。悔やみ続けているからこそ、いま子どもたちへ伝えたい。「あなたは生きているだけで価値がある。命だけは、絶たないでほしい」 (河北彬光)

 二学期の始業式翌日だった。二〇一六年八月二十五日。りまさんは「二度といじめたりしないでください」とスマートフォンのメモに書き残して自ら命を絶った。

 一学期は同級生らのいじめを苦に学校を休むこともあったが、夏休み中は友人とプールに出掛けたり、郷土舞踊の習い事に打ち込んだりと元気を取り戻したかに見えた。それでも心配する剛さんは始業式当日の夜「久しぶりの学校はどうだった?」と声を掛けた。りまさんは普段通り、答えた。「何もなかったよ。楽しかった」

 異変を感じなかった親にとって、娘の死はあまりに突然すぎた。それから二年。何度も生前の言動を思い返してきた剛さんは「今になって一つだけ、思い当たることがあった」と打ち明ける。

 夏休みが明ける一週間ほど前の夜。りまさんは居間のソファでくつろぎながら、剛さんの前で「このまま夏休みが終わらなかったらいいのにな」とつぶやいた。子どもにとって本来、夏休みは楽しい時間のはず。剛さんは、娘の言葉を気にも留めなかった。「今思えば、学校に行きたくなかったから、そう口にしたのだろう。何げないひと言を見逃してしまった」。反応していたら、もしかすると違う結果になっていたかもしれない、と悔いる。

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 今月二日、市いじめ防止対策審議会は、りまさんの自殺に関する最終報告書を答申した。いじめに悩み続けたりまさんが始業式当日、学校で再び悪口を言われたことなどが引き金の一つになったと認定された。

 今の時期、いじめやクラスでの居心地の悪さ、体や心の不調から「学校に行くのがつらい」と人知れず悩む子どもは少なくない。剛さんは親たちに「夏休み中やその直後、子どものひと言ひと言に注目してほしい」と呼び掛ける。場合によっては学校へ行かせないことも必要だと感じている。「私はそこまでできなかった。だから、子どもを救うための手を尽くしてほしい」

<子どもの自殺問題> 内閣府が2015年に公表した自殺対策白書によると、1972〜2013年に自殺した18歳以下は1万8048人。日別の自殺者数は9月1日が最多の131人。自殺総合対策推進センターが今月公表した分析結果では、06〜15年度の10年間で自殺のピークが8月下旬にみられることも判明。従来認識されていた9月1日に限らず、夏休み後半から休み明けにかけ自殺防止対策が必要であると指摘している。

 

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