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【社会】

都バス車内、年100人けが 警察統計より大幅に多く

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 東京都営バスの発車時や急停車時に乗客が車内で転倒するなどして、毎年百人前後がけがをしていることが、都への取材で分かった。警察は、都営バスと都内の民営バスの負傷者数を、多い年でも五十五人しか統計に計上していないことも判明。警察統計は国土交通省が事故防止対策の基礎データとして使っており、実態を正確に反映しているのかが問われそうだ。 (清水祐樹、森川清志)

 本紙はバスが別の車両と衝突した事故を除き、乗客がけがをした人数を調査。都は取材に対し、二〇一三〜一七年度に都バスの車内で毎年九十八〜百二十一人のけが人がいたことを初めて明かした。女性が七割超で、半数近くが七十歳以上。重傷は二〜八人だった。都バスの輸送人員は、民間を合わせた都内の乗り合いバス全体の26%なので、都内のけが人はさらに多い。

 都はけが人が出た事故を全て警察に届けたと説明する。だが、公益財団法人交通事故総合分析センターが本紙の依頼で集計した警察統計によると、都内の負傷者数は一三〜一七年に年間二十六〜五十五人だった。

 都内の乗り合いバスの輸送人員は大阪府内の約三倍だが、警察統計での一七年のけが人は都内二十九人に対して府内は五十一人。大阪府内とほぼ同じ輸送人員の福岡県内も、けが人は六十四人いた。

 警察統計は消費者庁のデータベースとも矛盾する。消費者庁はバス事業者が国交省に報告した車内の重傷事故を集約。一七年の重傷者は都内で十人以上いた。一方、警察統計では都内で一人だけとなっている。

 本紙は都内などで運行する民間バス事業者十数社にも車内事故のけが人の数を質問。ほとんど回答はなかったが、ある社は一六年度に四十一人がけがをして、うち「重大事故」の三人を国交省の規則に基づき報告したという。

 警視庁は取材に「医師の診断書が出たものを人身事故として統計に入れている」と説明、都は「基本的に自動車損害賠償責任保険(自賠責)で対応した事案を事故として扱っている」としている。

 損害保険料率算出機構によると、自賠責の請求には診断書が必要なため、都と警察の統計に計上する基準はほぼ同じはずだ。なぜ、警察統計での都内のけが人の数が、都バスのけが人の数より少ないかについて、警察庁も警視庁も「分からない」としている。

◆必要な対策取れない

<太田肇・同志社大政策学部教授(組織論)の話> 警察としては事故の多発がマイナス評価になるのではという忖度(そんたく)が働くなどして、都合のいいデータを取った可能性があるのではないか。基本的なデータが正しくなければ、必要な対策が取れない。都バスのデータなどと照合し、ずれがどこから来ているのかを見直すことが必要だ。

◆急停車時61% 発車時26% 都の統計、警察と逆

 都バスと警察の統計を比べると、車内事故の傾向に違いが生じている。

 都バスでは2017年度、けが人117人のうち車の割り込みなどによる急停車時が最多の61%、運転士が乗客の着座を確認しないなど発車時が26%だった。

 一方、警察の都内統計では17年、けが人29人のうち急停車時が7%、発車時が34%で、ほかは等速時や加速時などの事故。全国統計でも450人のうち急停車時が19%、発車時が35%と、都バスとは逆だった。

 国交省は警察統計などをもとに、発車時の事故が多いとみて運転士や乗客の啓発などに取り組んできた。だが、複数の事業者は「急な割り込みや飛び出しによる急停車もあり、車や自転車への啓発も必要」と指摘する。

◆ご意見や体験談募集

 安全で快適な乗り合いバスのあり方について、一緒に考えてみませんか。ご意見や体験談を募集します。連絡先を明記の上、メールはshakai@tokyo-np.co.jp、ファクスは03(3595)6919、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞社会部「バス」取材班へ。

 

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