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【社会】

転倒して骨折 目立つ高齢女性 注意していても…「怖い」

停留所でバスを待つ高齢者ら。バスはお年寄りにとって、欠かすことのできない交通手段だ=東京都豊島区で

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 乗り合いバスは車を運転しないお年寄りにとって、暮らしに欠かせない交通手段になっている。その分、車内で転ぶなどしてけがをする人も多い。東京都内のバス路線で話を聞くと、注意していても「怖い思いをした」と訴える人もいた。 (清水祐樹、唐沢裕亮、木原育子)

 七月末の昼下がり、東京・巣鴨のとげぬき地蔵前バス停で、日傘を差す高齢の女性らが列をつくってバスを待っていた。重そうな買い物袋を持つ人も。全員が、都内のバスに安く乗れるシルバーパスを運転士に見せて乗車。車内はやや混雑し、立っている人もいた。

 「発車します。おつかまりください」「バスが止まるまで、そのままお待ちください」とアナウンスが何度も流れる。「止まるまで席を立たないでください」とのステッカーも車内に張られていた。

 乗客の一人、豊島区の女性(92)は、こうした注意を守っていても「怖いと思うことがある」と話す。「急ブレーキをかけられると、座っていても席から飛び出しそうになる」という。

 他の高齢者からも「転んで骨折でもしたら寝たきりになっちゃうから、しっかり手すりにつかまっている」「友人が転んでけがをしたので気を付けている」という声が聞かれた。

◆けがしても「迷惑かけたくない」 被害訴えないケースも

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 バスで転倒し、けがをした人に目立つのは高齢者、特に買い物などでバスに乗る機会が多い女性だ。

 東京都北区は二〇一五年の国勢調査で、人口に占める六十五歳以上の高齢化率が25・8%と二十三区で最も高い。女性に限れば29・2%に。バスの利用者が多い同区の豊島五丁目団地で、女性(87)は「買い物帰りにバスの中で転んだ」と明かした。

 空いていた奥の座席まで、車内を歩いていたら発車した。両手は荷物でふさがっていた。腕や足を打って痛かったが、病院には行かなかった。「それからは乗ったらすぐに座るか、空席がなかったら降りて、次のバスを待つ」と話す。

 荒川区役所前のバス停に並んでいた女性(92)は「昨年秋、バスが突然止まった時に隣の人がよろけてきて一緒に倒れてしまった」と打ち明けた。足首をねんざし、運転士から「大丈夫ですか」と声を掛けられた。でも「バスが遅れてはいけない」と、被害を訴えずに降りた。「しっかりつかまっていなかった私にも責任があるでしょ?」と申し訳なさそうに話した。

 東京消防庁によると、バスの乗降時や車内での転倒による救急搬送は、一六年で三百四十八人。このうち七割強が七十歳以上だった。都によると、高齢者はバスで転んでも迷惑をかけたくないとの思いから、救急車を呼ぶことを拒むケースもあるという。

◆ご意見や体験談募集

 安全で快適な乗り合いバスのあり方について、一緒に考えてみませんか。ご意見や体験談を募集します。連絡先を明記の上、メールはshakai@tokyo-np.co.jp、ファクスは03(3595)6919、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞社会部「バス」取材班へ。

 

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