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【社会】

空調ない、情報ない、水・食料足りない… 孤立の関空 いらだち渦巻く

神戸空港行きの高速船に乗るため、長蛇の列を作りバスを待つ人たち=5日午後7時26分、関西空港で

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 「とにかく暑かった」「情報がないのが一番つらかった」−。台風21号の影響で従業員を含め推定最大八千人が一時孤立したとされる関西空港。台風が近づいた四日昼から外部への輸送が始まった五日までの状況を、利用者の話を基に再現した。

 鳥取県米子市の女子大学生(19)は、友人の女子大学生(22)とカンボジアに行く予定だった。出発待ちで、複合施設のソファに寝転がっていた。

 「ガシャッ」。風雨が強まった四日午後二時ごろ、ガラスが割れる音が響いた。続いて「キャー」という女性の悲鳴と、風が吹き込む音がとどろく。付近から離れようとする人と、様子を見に行こうとする人が入り乱れた。

 インターネットがつながりづらくなり、一部で停電が始まった。空調も止まり、じめっとした暑さが襲った。外を見ると、電灯がぐらぐらと揺れている。「恐怖心に駆られた」。

 神戸市西区の中武守邦さん(74)、昌子さん(73)夫妻は息苦しさの中、周囲と「辛抱しないと」と励まし合った。手をかざして電動で水を流すトイレは使えず、使用できる数少ないトイレに長蛇の列ができた。

 夕方、次々と欠航が知らされる。コンビニには食料などを求める人が殺到。外国人客が空港職員と口論する姿もたびたび見られた。天井は雨漏りのシミがにじみ、床にバケツが並んだ。

 大阪市港区の会社員三井紗起子さん(27)は公衆電話から母親に電話し、五日朝に神戸空港行きの高速船が出ることを知った。職員に確認したが「はっきり把握できていない」と曖昧な返答しかなかった。

 利用者にはビスケットや水が配られたが、全員には行き届かず、沖縄県北谷(ちゃたん)町の専門学校生久志(くし)好乃さん(25)は、買っていたお土産を食べて仲間と空腹をしのいだ。

 夜はスマートフォンの充電のためコンセントの取り合いに。兵庫県たつの市の大学生上谷理奈さん(25)は「そんなに台風がやばかったんやと思い知った。コンセントを探して搭乗口を端から端まで探し回った」。

 五日未明からは、高速船に乗ろうと利用者が重い荷物を引きずり長い列ができた。午後になっても列は途切れず、職員が状況を説明していると「聞こえへんわ」といらだちの声が上がった。「やっと帰れる」。大阪府池田市の会社員山田美樹さん(25)は、ほっとした様子で話した。

 五日夜、空港のベンチや保安検査場の近くでは、二泊目を過ごす人の姿も見られた。

 

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