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【社会】

北海道地震 「孫にランドセル」かなわず 厚真の76歳男性、自宅で遺体発見

避難所で過ごす人たち=7日、北海道厚真町の厚真中央小で

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■捜索現場で

 北海道厚真町桜丘で、中田一生(かずのり)さん(76)が土砂にのまれた自宅から遺体で見つかった。七日朝には地元の寺院に運び込まれ、親族や住民らが亡きがらを迎えた。二人暮らしの長男一好さん(50)は遺体が発見された際、一生さんが右腕で頭を守っているように見えた。「おやじなりに必死に体を守ろうとしたんだろう。相当、おっかなかったと思う」と空を見つめた。

 一好さんは二階の自室で、一生さんは一階の和室で就寝していた。三時すぎ、突然「ダダダダダッ」というごう音とともに、立つこともできない激しい揺れに襲われた。揺れが収まるとスーッと家が傾きだした。

 「父さーん!」と何度も叫び、耳を澄ました。返ってくるのは、ミシミシと傾く家がきしむ音だけ。明るくなって外に出ると、倒れた自宅一階には、崩れてきた土や木々が突き刺さっていた。「奇跡を信じたかった」。だが、土の中から運び出された一生さんの目が開くことはなかった。

 次男の子である双子の孫が来年、小学生になるのを心待ちにしていた一生さん。最近は口癖のように、「ランドセル買ってやらねば」と優しくほほを緩めていた。「当たり前に来ると思っていた明日が来ないなんて…」。気丈に振る舞っていた一好さんは、目を赤くして遠くを見つめた。 (井本拓志、河北彬光、安福晋一郎)

■亡くなった方々

 北海道の地震で、厚真町が発表した亡くなった方々は次の通り。畑島武司さん(86)=同町朝日二二五▽畑島さんの妻富子さん(81)=同▽中田一生さん(76)=同町桜丘一〇九の五▽滝本舞樺さん(16)=同町吉野七七▽中村ミヨさん(76)=同町幌里四一一▽中田朗さん(60)=同町吉野六三

 

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