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【社会】

夜通し捜索「無事で」 見守る親族、希望と焦り 北海道地震・厚真町

唇をかみしめ、佐藤正芳さんの捜索現場を見つめる、いとこの佐藤泰夫さん=7日午後6時35分、北海道厚真町富里地区で

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 震度7の大地震から二度目の夜を迎えた。多くの住宅が土砂にのまれた北海道厚真(あつま)町。七日も警察官らが休むことなく捜索に当たった。「無事でいて」。親族は祈る思いで見守る。都市部は一部の機能が戻りつつあるが、停電や断水、インフラの完全復旧はほど遠い。避難所では住民に疲労の色がにじみ、被災者らの不安な日々は続く。 

 厚真町富里地区の農業佐藤正芳さん(66)の捜索現場では、三十メートル隣に住むいとこの佐藤泰夫さん(63)らが重機の掘り進む先に目を凝らした。

 「とにかく早く見つかってほしい」。午後七時、断続的に小雨が降る中、かっぱを着込んだ泰夫さんは焦りをにじませた。周囲は真っ暗。投光器の照らす現場で重機三台が土砂や倒木をどかしていた。

 六日未明、泰夫さんは「ガタガタ」と揺れる音で地震に気づいた。二階の寝室の窓から、木が流れているのが見えた。明るくなった午前五時ごろに外へ出ると、木造二階建ての正芳さん宅があった場所には、高さ数十メートルのミズナラの倒木が積み上がっていた。

 「まーちゃん、まーちゃん」と叫んでも、返事がない。同日昼から、陸上自衛隊などが夜通し捜索。布団や仏壇、親族の写真などが点々と見つかった。

 今は一人暮らしをしている正芳さんは、家族や親族を大切にしてきた。十年ほど前に母親が亡くなるまで毎日、農作業を終えると母親の入所する町内の高齢者施設に通い、晩ご飯を食べさせた。

 めいを実の子のようにかわいがり、昨年、めいが名古屋市に引っ越すと年に何度も訪問。今月も三日までの数日間、遊びに行ったばかりだった。

 泰夫さんは「まめでまじめ。それに、一人が寂しかったんではないかな」と正芳さんの心情を推し量る。

 正芳さん宅の被害を知っためいは、泰夫さんとの電話で泣きじゃくり、「もう諦めなきゃだめだね」と漏らしたという。泰夫さんは「覚悟はしとけ」と返事をした。希望を捨てたわけではない。「でも最悪を考えておかないと、ショックが大きい」と自分に言い聞かせるように話した。 (福岡範行)

 

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