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【社会】

基地負担に悲痛な叫び 沖縄知事選、県民の声

 13日告示された沖縄県知事選の最大の争点は、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設問題だ。この日、住宅や学校が隣接し「世界一危険」と言われる普天間飛行場や、安倍政権が移設に突き進む辺野古の周辺を歩くと、住民からは「普天間の危険除去は待ったなしだ」「本当に沖縄しかないのか」という悲痛な叫びが聞こえてきた。 (井上靖史)

 エメラルドグリーンの浅瀬と白い砂浜がまぶしい辺野古。翁長雄志(おながたけし)知事の遺志を踏まえて県は先月三十一日、米軍キャンプ・シュワブ沖の埋め立て承認を撤回した。工事は止まっており、新基地建設に反対する人たちも海上での抗議を週二日に減らしている。この日、目立った海上行動はなかった。

 新基地建設を巡っては、主要候補の佐喜真淳さん(54)は訴えで特に触れず、玉城デニーさん(58)は明確に反対を掲げる。キャンプ・シュワブゲート前には、玉城さんを支持する多くの人が集まっていた。

 那覇市の知念好枝さん(61)は「百年以上も耐久性がある基地ができれば必ず戦争になる。子や孫に残したくない」。名護市の浦島悦子さん(70)は「沖縄戦を体験したお年寄りが『食べ物がなくなった時でも海があったから生きてこられた』と言っていた。海こそ命の宝。自然を基地に売り渡さない」ときっぱり。

 支持者に加え、フランスの新聞社、ドイツ公共放送の両特派員がマイクを手に「知事選に合わせて取材に来ました」とあいさつ。東京から現場学習に来た専修大生も自己紹介。関心の高さを物語った。

 ゲートから五百メートルほど離れると集落や商店が点在する。雑貨店店主の女性(70)は「承認撤回で工事が止まり、客は半分くらいに減った。なるべく基地はない方が良い。でも、どう活性化させるか」と悩んでいた。

 辺野古から南へ約四十キロの宜野湾市。「バタバタバタ」と、ごう音を響かせながら普天間飛行場からヘリが飛び立った。近くにある市立普天間第二小の運動場では昨年十二月、体育の授業中に同飛行場所属の大型輸送ヘリコプターの窓が、枠ごと落下するトラブルがあった。

 六年生の次男を通わせている近くの介護福祉士又吉隆さん(41)が恨めしそうにヘリを見ていた。「もし落ちた窓が自分の子に当たってたらと思うと腹立たしい。基地は全部なくなればいいと思っているが、まずは危険な所から。辺野古の方に申し訳ないけど、現実的には移設してくれそうな人に託すしか」と佐喜真さんに気持ちが傾いている様子だった。

 「辺野古に新基地ができなければ普天間が固定化するという論理がおかしい。万一、新基地を造るにしても(整備まで)十年。待てない」と訴えたのは学校に窓枠が落ちる六日前、園庭の屋根で米軍ヘリの部品が見つかった近くの緑ケ丘保育園の神谷武宏園長(56)。

 現時点でも国土面積の0・6%の沖縄県に在日米軍専用施設の七割が置かれている実態を踏まえ、神谷さんは「沖縄しかないのか。辺野古に移せばいいという問題ではない」と訴えた。

◆沖縄知事選立候補者(届け出順)

佐喜真淳(さきまあつし)54 (元)宜野湾市長  無新=自公維希

玉城デニー(たまき)58 (元)衆院議員   無新 

渡口初美(とぐちはつみ)83 (元)那覇市議   無新 

兼島俊(かねしましゅん)40 (元)会社員    無新 

 

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