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【社会】

盲導犬と余生も一緒に 初の同居老人ホーム 来春、愛知に

盲導犬を目指して訓練を受ける犬。視覚障害者にとっては人生のパートナーとなる=名古屋市港区の中部盲導犬協会で

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 高齢の視覚障害者が、連れ添った盲導犬と一緒に余生を過ごす全国初の特別養護老人ホームが来年四月、愛知県新城市にオープンする。別棟には、引退して飼い主と別れた高齢の盲導犬を預かる「老犬ホーム」も設ける。市民に開放し、犬と触れ合える施設にする。経営は中部盲導犬協会(名古屋市港区)。構想から十年がかりで、念願の施設が誕生する。 (武藤周吉)

 特別養護老人ホームは鉄筋コンクリート三階建てで、定員は百人。このうち二十人は、盲導犬と過ごす視覚障害者向けで、専用の個室が一階に並ぶ。他の八十人は一般の高齢者で、二〜三階の個室で過ごす。

 盲導犬は各地の協会が、利用者に貸与する。利用者自身が世話するのが原則で、施設に入居したり、入院したりして世話ができなくなると、協会に犬を返却する。

 一方の盲導犬は、生涯で一人だけに仕えるのが原則で、協会に返却されると、仕事を引退。引き取り手のボランティアや、協会に飼われて余生を送る。

 「施設に入っても、盲導犬と一緒に過ごしたい」という声が多く寄せられていたため、中部盲導犬協会は自ら、特養ホームを経営することに。盲導犬の世話はホームの職員のほか、他の一般入居者も手伝う。

 老犬ホームは、飼い主と別れた十頭前後を受け入れる。飼い主の施設入居や入院のほか、高齢で盲導犬を引退した犬が対象となる。専用の温泉も用意。市民が犬と触れ合える「ドッグカフェ」や「ドッグラン」も設け、盲導犬への理解を広げる。

 建設費は約十五億円。中部盲導犬協会の自己資金や借入金、市民からの寄付で賄う。

 名古屋市守山区で盲導犬「コクーン」(雄、四歳)と暮らす中村進さん(86)は、施設誕生を待っていた一人。「人生は、常にワンちゃんと一緒だった。私にとっての家族。最期までともに過ごしたい」と語り、入居を検討するという。

 全国盲導犬施設連合会によると、盲導犬の老犬ホームは札幌市などにあるが、人とともに暮らせる施設は世界的にも珍しい。

 中部盲導犬協会の田嶋順治常務理事は「利用者には盲導犬とともに過ごしてきた人生に誇りがある。その誇りを生涯守り続けられる環境をつくりたい」と語る。

 介護スタッフや入居希望者を募集している。問い合わせは協会=電052(661)3111=へ。

<盲導犬> 視覚障害者の生活を助けるために訓練を受けた補助犬で、全国に約1000頭いる。ほとんどはラブラドルレトリバー。2歳ごろに仕事を始め、10歳前後で引退をする。育成団体は全国に11あり、利用者に無償で貸与する。

 

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