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【社会】

強制不妊訴訟で国、争う姿勢 違憲性認否示さず

旧優生保護法訴訟の第1回口頭弁論の傍聴券を求めて、車いすで札幌地裁に向かう男性=28日

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 旧優生保護法(一九四八〜九六年)下で不妊手術を強制されたとして、札幌市の小島喜久夫さん(77)が国に千百万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が二十八日、札幌地裁(岡山忠広裁判長)で開かれた。国は違憲性の見解を示さず、請求棄却を求めた。地裁は多くの障害者の傍聴を想定し、席の約六割で対応できるようにした。介助者同伴やたん吸引のための出入りも認めるなど、画期的ともいえる配慮を示した。

 旧法を巡っては、札幌、仙台、東京、熊本の各地裁で計七人が提訴。同日午前、宮城県の六十代女性が新たに仙台地裁に訴えを起こした。午後も大阪と神戸の両地裁で提訴が相次いで原告は計十三人になる見通し。

 小島さんは意見陳述で「手術を受けたことを誰にも言えず、一人悩み苦しんできた。裁判で勝ったとしても、苦しみがなくなることはない。私のように、誤った法律や政策によって人生を狂わされる被害者を出さないためにも、国は責任を認めて謝罪してほしい」と涙ながらに語った。

 訴状によると、小島さんは十九歳ごろ、札幌市の精神科病院に連れて行かれ「精神分裂病」として施術された。自己決定権を侵害する旧法は違憲で、国が九六年の法改定後も救済措置を怠ったとしている。

 国は答弁書で、救済の施策や立法義務を否定し、国家賠償法上、違法ではないと反論している。原告弁護団は弁論終了後の記者会見で、国が違憲性の認否を示さないことについて「不誠実な対応だ」と批判した。

 旧法を巡る仙台地裁訴訟の弁論では、裁判所が違憲性について認否や考えを明らかにするよう求めたが、国側は「主要な争点ではなく、(見解を示す)必要性が乏しい」としている。

 小島さんは、九歳の女の子も手術されたと知って提訴を決め、原告として実名を初公表した。

 

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