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【社会】

気温33度超、法務省駅伝に参加 刑務所職員が熱射病死

 法務省の東京矯正管区が九月に開いた職員向けの駅伝大会で、川越少年刑務所(埼玉県川越市)の男性職員が熱射病で死亡していたことが分かった。周辺の最高気温が三三度を超える中、給水態勢も不十分だった。同省は死亡について公表していない。

 記録的な猛暑となった今夏、全国の矯正施設では熱中症による受刑者の死亡や搬送が相次いだ。スポーツ団体の指針は三一度以上の環境下での持久走を避けるよう定めており、矯正当局の管理のあり方があらためて問われそうだ。

 駅伝大会は例年、荒川戸田橋陸上競技場(東京都板橋区)を発着点に荒川河川敷で十月に行われるが、今年は十月の枠が確保できず九月八日に開催。関東甲信越と静岡の十一都県から約四百人が出場し、各チーム五人が三・五〜七・一キロの五区間、二四・一キロでたすきをつないだ。第一走者が走り始めた午後二時すぎ、隣接する練馬区の最高気温は三三・六度を記録。飲料を持って走ることは認められていたが、会場には給水所がなく、チームメートらから給水のサポートを受けることも禁じられていた。

 死亡した男性職員は岩田一悟郎さん(32)。第一走者として七・一キロを走る予定だったが、四キロ地点で既に歩くなど体調がすぐれない様子が目撃されており、走り始めて約三十分後、五キロ地点であおむけに倒れた。救急搬送され、二日後、熱中症の中で最も重篤な「熱射病」で死亡。川越少年刑務所とは別の矯正施設から出場した男性二人も熱中症で搬送され、入院した。

 東京矯正管区の大竹和之総務課長は取材に、当日の気温について「この程度なら問題ないと判断して開催した。暑さで中止した前例もなかった」と説明。給水などのサポートを禁じたことは「昔からのルールだが、今考えれば現実に即していなかった」と釈明した。

 一方で、大会本部に看護師一人を配置し、搬送前に救命措置をしたことなどから「対応に問題はなかった」と強調し、公表していない理由は「職務中の事故ではないため」と話した。

 熱中症に詳しい京都女子大の中井誠一名誉教授(運動生理学)は「熱中症は走る距離に関係なく三十分ほどの運動で発症することがある。気温が三〇度を超えていたなら大会は中止すべきだった」と指摘した。 (小野沢健太、山田雄之)

 

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