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【社会】

ありがとう築地 最終営業日ドキュメント

 行き交うターレ(運搬車)、競りを告げる鐘の音。「ありがとう築地」と涙ぐむ人。83年の歴史に幕を下ろした築地市場(東京都中央区)の6日午前の様子を追った。 (辻渕智之、山本哲正、梅野光春、井上靖史)

 午前3時21分 市場正門。「東京 築地」と側面に書かれた水産会社のトラックが勢いよく入る。

 3時半 報道関係者が場内へ。国内外54社142人が取材申請。

 5時10分 生鮮マグロ卸売場で閉場セレモニー。「築地魚市場」の吉田猛社長が「築地市場は83年間の活動を停止し、歴史の中に刻まれる」。

 5時16分 東京魚市場卸協同組合の早山(はやま)豊理事長の音頭で一本締め。

午前5時28分 競りの前に冷凍マグロを確認する関係者

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午前6時 冷凍マグロ卸売場で、築地市場での最後の競りの開始を告げる競り人

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 6時 「リリン、リリン」と鐘の音が響き、冷凍マグロの競り開始。競り人が足でリズムを取りながら買値を独特の言い回しで読み上げた。「アリゴ、アリゴ」と呪文のよう。

 6時20分 青果部卸売場。卸会社「東京シティ青果」の鈴木敏行社長(62)が「一抹の寂しさを感じる。これからは豊洲市場ブランドをつくり上げたい」とあいさつ、一本締め。仲卸業者から「ありがとう築地。さようなら」の声も。

 6時半 水産仲卸売場。1940年創業「大芳(だいよし)」にはアカガイやカキが並ぶ。「加熱用2キロ」と注文を受けた3代目の宇田川浩社長(57)がカキを袋に入れ、はかりに載せると2キロちょうどで「匠(たくみ)の技でしょ」と笑顔。「築地の長い歴史の最終日に立ち会えて感謝」と語る際には涙も。

 6時半 青果部卸売場で、競り人が次々と移動して品物近くで踏み台に立つ移動競りが始まる。枝豆やワサビなどの競りで「ニマル、ニマル」「ヨツヤ」の声が響く。

 6時50分 青果部卸売場に旬のマツタケが並ぶ。「おい、いつもの値段じゃ落とせんぞ」。買い付け人が苦笑い。普段より1割ほど高いご祝儀相場という。

 7時 「ジリリリ」と鳴るベルを合図に、1カ所で多品目の競りをする固定競りが始まる。階段状の競り壇に並んだ買い手が長ネギやトマトなどを次々と競り落とす。

 7時半 東京都武蔵野市で和食店を営む男性(40)は、13年通う青果仲卸「くしや」でマツタケを品定め。「豊洲に移っても行くよ」。くしやは創業300年の老舗。杉本雅弘社長(58)は「寂しいかって? 江戸っ子は痩せ我慢するんだ」。

 7時50分 勝どき門駐車場のエレベーター。誰が書いたのか、青いペンで「サヨナラ」。

 7時55分 市場移転後も残る築地場外市場。路上のごみ拾いをしていたのは、近くに住む市東(しとう)鉱三さん(78)。街への愛着から毎朝続けているという。

 8時15分 場外市場で友人と卵焼きを食べた渋谷区の会社員村上舞さん(26)は「今日が最後なので来ました」。場外は残ると伝えると「えーっ! また来ます」。

 9時30分 市場内の飲食店街「魚がし横丁」のすし店には長蛇の列。大阪から来た30代の会社員男性は「2時間以上並んでいるけど列が進まない」。

 9時56分 市場内にアナウンス。「ただいまカツオの落とし物が届きました」。観光客から笑いが。

午前10時29分 大勢の人や運搬の車両でごった返す築地市場

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午前11時10分 営業を終え、はかりを取り外す仲卸業者

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 11時15分 市場内はおおむね業務を終わったが、反比例してツアーの観光客らが増えて大混雑。ターレやトラックが時折、クラクションを鳴らしながら最後の仕事に奔走。

 11時49分 「築地市場は本日12時をもちまして全て終了します」と場内アナウンス。観光客らが門へと向かった。

 正午 営業終了。既に閉めた仲卸店もあれば「午後1時までは店にいるよ。あいさつに来る人もいるから」という仲卸店も。

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