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【社会】

場外の灯消さぬ にぎわい、大きな転機

大勢の観光客らでにぎわう築地場外市場=6日

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 築地市場に隣接する商店街「築地場外市場」は現在地にそのまま残る。「場内」がなくなった後のにぎわいをどう維持するか。大きな転機を迎えている。 (神野光伸、井上靖史)

 卵焼きや魚介を焼く香ばしい匂いが漂う築地場外市場。六日は、すれ違う人の肩と肩がぶつかり合うほどの観光客でごった返した。

 家族四人で訪れた東京都国分寺市の四十代主婦は「最後に築地市場を見ておこうと来た。場外市場はなくならないとは聞いていた。ここはここで雰囲気があるので、さびれることはないと思う。別の日にまた、ゆっくり来たい」。友人と訪れ、卵焼きを食べたという東京都渋谷区の会社員村上舞さん(26)は「今日で最後だと思っていた。おいしかったので残るならまた来ます」と顔をほころばせた。

 一九三五年の築地市場開場と同時に、市場を訪れる人たちが必要とする調理用品や道具類など、市場では扱わない品をそろえる問屋が増えていった。場外市場の起源だ。現在は縦百三十メートル、幅四百メートルのエリアに約四百六十軒の店が密集、築地市場とともに都内屈指の人気スポットになった。

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 だが、市場がなくなれば、場内を訪れた業者が場外に立ち寄る、これまでの「動線」は崩れかねない。地元の中央区が市場の代替施設として、水産・青果の仲卸業者の店舗を集めた商業施設「築地魚河岸」を二〇一六年に開設したのは業者の集客を狙ってのことだ。

 その思惑とは裏腹に、入居事業者でつくる築地魚河岸事業協議会の楠本栄治理事長(63)は「この二年間、プロの業者に来てもらうにはどうしたらいいか試行錯誤を続けたが、観光客向けに軸足が移ってしまった」と明かす。「一般・観光客の利用は一過性のもの。プロの固定客を引きつけるようにしなければ」

 ある関係者は「食べ歩きの町にはしたくないのが本音」と漏らす。

 一方、場外の業者らでつくるNPO法人「築地食のまちづくり協議会」の鈴木章夫理事長(70)は「場外は既に観光地として定着している。市場の移転後も一気に廃れることはないのでは」とみる。

 ただ、鈴木さんが場外で経営する鳥肉販売店は、観光客が増えた今でも売り上げの八割以上は業者向け。「プロの買い出し人が寄り付かない場所では場外の意味がない。プロと観光客、一般客が、バランス良く訪れてもらえる街にしていく必要がある」

 

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