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【社会】

「声上げられない人々の声に」 ノーベル平和賞ムラドさん

 【ワシントン=後藤孝好】過激派組織「イスラム国」(IS)に性奴隷として拘束され、被害者の立場から性暴力根絶を訴えてことしのノーベル平和賞に選ばれたイラク人女性ナディア・ムラドさん(25)が八日、首都ワシントンで記者会見し、「声を上げられない人々の声になり、正義を求めている人々のために立ち上がる」と今後の活動への決意を語った。

 ムラドさんが五日の授賞決定後、公の場で話すのは初めて。ノーベル平和賞について「私にとって驚きだったが、とても光栄で、同時に大きな責任を感じている」と重みをかみしめ、「世界中の性暴力の被害者を含めた全ての戦争の被害者と賞を分かち合いたい」と述べた。

 自らの活動について「中東や世界で迫害された地域社会や、性暴力の被害者を守るという大きな目的がある」と強調。「全ての政府に大量虐殺と性暴力と闘うことを求める。世界は道徳的、法律的な責任を負うべきだ」と国際社会に積極的な取り組みを求めた。

 ムラドさんはイラク北部出身のクルド民族少数派ヤジド教徒。ISの襲撃に遭い、家族を虐殺され、自身は繰り返しレイプされたり拷問を受けたりした末に脱出し、紛争で犠牲になる女性の現状を伝える活動を続けている。

 平和賞の賞金を何に使うかを問われたムラドさんは「五十万ドル(約五千六百万円)は(ISに)とらわれた約三千人のヤジド教徒を取り戻すのに足りない。一人(を取り戻すのに)二万〜三万ドルかかるのだから」と述べ、ISが支配地域からほぼ掃討された後も問題が解決していない実態を訴えた。

 二〇一八年のノーベル平和賞は、ムラドさんと、民兵らによる性被害に遭った女性ら五万人以上を診療し、紛争地域での性暴力撲滅に取り組むコンゴ(旧ザイール)のデニ・ムクウェゲ医師(63)に贈られることが決定している。

 

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