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【社会】

五輪会場の海、安全です 千葉・釣ケ崎 地元有志が検査

水温の計測や海水の採取をするNPO法人「海のこえ」の会員=千葉県いすみ市の太東海水浴場で

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 二〇二〇年東京五輪のサーフィン競技の会場となる千葉県一宮町の釣ケ崎海岸で毎月、海水などの放射性物質の検査を行う人たちがいる。地元のサーファーらでつくるNPO法人「海のこえ」(一宮町)。一一年三月の東京電力福島第一原発事故後、放射性物質による海の汚染を不安視する声が、活動のきっかけだった。 (黒籔香織、写真も)

 九月二十九日朝、空のペットボトルや温度計などを手にした男女七人の会員が、釣ケ崎海岸や太東(たいとう)海水浴場(同県いすみ市)など計五カ所で、海水や海底の砂を採取した。

 一級化学分析技能士の加瀬年生(としお)さん(38)は、各ポイントの空間放射線量や気温、水温を紙に書き込んでいく。加瀬さんは採取した海水の大腸菌や透明度など八項目の水質調査を担当。海水と、ひざ下ぐらいまで海に漬かって採取した砂の放射性物質の検査を、一般財団法人東京顕微鏡院(東京)に委託している。

 「原発事故当時は『海は安全だ』と反論する術(すべ)がなかった」。同県長生村に製造工場を持つウエットスーツ製造会社(東京)の佐藤誠社長(57)は振り返る。

 当時、海外の取引先から佐藤さんの会社に「放射性物質による汚染で、日本の海にはもう入れないのではないか」といった声が寄せられた。一宮町のサーフショップには客から「海に入って大丈夫か」と問い合わせが相次いだ。

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 「自分たちで安全かを調べよう」。佐藤さんらは一一年八月から、海水と海底の砂の放射性セシウムの検査を始めた。一六年にNPO法人化し、同年七月の調査分から「海のこえ」のフェイスブックで毎月、検査結果を公表している。これまでに、海水や砂から、国の基準を超える放射性セシウムは検出されていない。

 「海のこえ」の会員は、地元でサーフィンをする会社員や町職員、プロサーファーら二十四人。その一人でプロボディーボーダーの高瀬ひろみさん(35)は「人生を変えてくれた海に何か恩返しができないかと思い、活動を続けている」と語る。佐藤さんは「検査し続けた海の情報は、五輪開催時に国内外からの問い合わせに役立つはず」と話している。

 「海のこえ」は活動資金の寄付を募っている。問い合わせは、NPO法人海のこえ=https://www.uminokoe.net/=へ。

 

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