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【社会】

唯一無二の三角形ペア 慶大院生が証明

世界に一つしかない直角三角形と二等辺三角形の組を見つけた平川義之輔さん(左)と松村英樹さん=横浜市の慶応大日吉キャンパスで(平川さん提供)

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 無数にある三角形の中に、唯一無二のペアが存在することを、慶応大大学院生の二人が見つけた。中学生にも分かる簡単な関係だが、発見には現代数学の先端理論を使ったという。 (増井のぞみ)

 二人は同大学院理工学研究科博士課程三年の平川義之輔さん(28)と二年の松村英樹さん(26)。小数点以下がない「整数」が好きな松村さんが「三つの辺の長さがどれも整数になる三角形には、面白い性質があるのでは」と思いつき、平川さんと調べ始めた。

 二人は三辺がすべて整数になる直角三角形と二等辺三角形に注目。双方の三角形で「周囲の長さが同じ」「面積が同じ」という二つの条件を満たすペアを探したところ、たった一組しかないことが分かった。

 唯一の組は、三辺の長さが整数で「377、135、352」の直角三角形と、「366、366、132」の二等辺三角形。この時、三辺を足すと、どちらも864、面積は23760になる。辺の長さが整数以外の三角形では、ペアは何組でも存在する。

 無数にある整数の直角三角形と二等辺三角形の中で、このペアしかないことを示すのは簡単ではなかった。「数論幾何学」という現代数学の手法を使い、ペアが何組あるかという問題を、図形に点がいくつあるかを数える問題に置き換えて解いた。この一組だけだと証明するのに約四カ月かかった。

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 三辺が整数の場合、直角三角形同士では同様のペアはなく、二等辺三角形同士なら無数にある。これは高校レベルの数学で答えが出せるという。成果は、米専門誌「ジャーナル・オブ・ナンバー・セオリー」電子版に掲載された。二人の発見は今後、「平川−松村の定理」と呼ばれる可能性がある。

 平川さんは整数について「幼いころから知っている身近な数字だけど、奥が深い」と魅力を語る。松村さんも「その中で、ただ一組という魅力的な結果が出てうれしい」と喜んだ。

 現在のインターネット暗号には、十七世紀の数学者フェルマーの見つけた定理が利用される。指導教官の坂内(ばんない)健一教授(46)は「二人の定理は、自由な研究の成果。もしかしたら数百年後に役に立つかも」と期待を込める。

 

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