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【社会】

迫る出願、受験生憤り 入試不正疑惑に女性「どこを受けたら…」

大学入試に向けて勉強する予備校生たち=都内で

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 医学部医学科を置く全国八十一大学に実施した文部科学省の調査で十二日、複数の大学で女子が不利になる不正入試の疑惑が指摘され、十二月の出願時期が迫る受験者からは「一体どこを受けたらいいのか」と悲鳴が上がった。公正であるべき大学入試での深刻な不正疑惑に、不安や怒りが広がっている。 (原田遼、原尚子)

 この日、東京都内にある医学部専門予備校の自習室で黙々と勉強をしていた女子受験生(19)は「女性というだけで不利になるなんて。ショック」と肩を落とした。

 現在二浪中で来年の医学部入試を「最後」と決めている。例年なら志望校を決め、入試対策を始めなければいけない時期。だが、分かっているのはどこかの大学で不正が疑われるというだけだ。「行きたい大学が、女子に厳しい大学だったらどうしよう」と出願を決めきれない。

 来年の一月下旬から二月上旬にかけては多くの私大で入試日程が重なる。この受験生が通う予備校の社長は、大学側に自主的な不正の発表を求めた文科省に対し、「九月の調査の速報値の発表時にそれはできたはず」といら立つ。「出願の選択を悩む親や受験生の相談は例年以上に受けるが、こちらとしても大学名が分からなければ、アドバイスができない」と嘆いた。

 皮膚科医を志す東北大の女子医学生(22)は「やはり男女で同じ評価はされていないのか」と憤る。入学後、現役の女医と話す機会があり、「出産や育児ではブランクがどうしても生まれ、キャリアアップの面では男性より不利になる」と聞かされた。

 自身も将来は留学や大学医局勤務を視野に入れている。「時間的な部分だけでも不利なのに、さらに男女差別があるとなれば、希望をかなえるのはかなり厳しいのかな」と明るくない未来を覚悟した。

 医学部入試での女性差別の可能性を指摘してきた産婦人科医で「日本女性医療者連合」理事の種部恭子さん(53)は「これまで不正を証明できなかったが、(医療界全体で)やっていることが分かった。徹底的に調べてほしい」と語る。

 女子の受験者数が四割止まりであるのは「大変なのではというためらいや、仕事を続ける意欲をそぐ環境があるから。『ガラスの天井』をなくすため国民も交えた議論をするチャンス」と指摘した。

◆文科省は公表すべき

<NPO法人医療ガバナンス研究所の上(かみ)昌広理事長の話> 以前から得点操作のうわさがあったのは東京医大だけではない。文科省は不正入試が強く疑われる大学名を公表するべきだ。捜査権がないと言うなら告発し、不正入試をした大学の補助金削減など対応を取るべきではないか。このようなフェアでない事態を起こした原因や責任が明らかにならなければ、失った信頼は回復できない。

 

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