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【社会】

企業型保育所の閉鎖相次ぐ ずさん経営、支給遅れ影響も

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 待機児童対策の目玉として政府が整備を進める「企業主導型保育所」を巡り、経営難のため開設から短期間で閉鎖したり、事業から撤退したりする動きが出始めていることが十三日分かった。多額の助成金をあてにしたずさんな経営や、甘い見通しが主な原因だ。

 共同通信の主な自治体への取材では、全国で少なくとも八カ所が閉鎖・撤退。子どもの人数を水増しして助成金を不正受給した疑いで逮捕される事業者も出た。支給実務を担う国の外郭団体の支払いが遅く、事業者が資金繰りに窮している側面も指摘され、制度の運用見直しが求められそうだ。

 企業主導型は企業が主に従業員向けに設ける保育所。安倍政権が二〇一六年度に制度を創設し、今年三月末現在、全国に二千五百九十七カ所。認可外保育所に分類されるが、保育士数など一定の条件を満たせば認可保育所並みの手厚い助成金を受け取れる。

 制度スタートから二年半しかたっていないが、東京都内で二カ所、横浜市で一カ所、大阪市で二カ所、長崎市で一カ所が閉鎖した。横浜市のケースは開設二カ月で閉めていた。子どもは他の園に移るなどしたという。

 残りの二カ所は、助成金を支給する内閣府所管の「児童育成協会」が「不正受給があった」などとして支給決定を取り消した秋田市と沖縄県沖縄市の保育所。秋田市の事例では、秋田県警が今月三日、元園長ら二人を詐欺容疑で逮捕した。沖縄市の保育所は整備費の助成金を受け取ったものの、実際には運営していなかったという。

 一方、児童育成協会による運営費助成金の一部支払いが大幅に遅れており、事業者から「経営が成り立たない」との声が相次いでいる。都内では事業から撤退し、他社に譲渡する動きが複数出ている。

 企業主導型保育所を巡っては共同通信の調査で、多くの保育所で大幅に定員割れを起こしていることが判明している。

<企業主導型保育所> 企業が主に従業員向けに設ける保育所。基準を満たせば開設費用の4分の3相当のほか、運営でも認可保育所並みの助成金を受け取れる。都市部で定員20人のモデル例では、助成金額は開設工事だけで1億円強になる。幅広い企業が負担する「事業主拠出金」が財源。今年3月末現在、全国に2597カ所あり、定員は計約6万人だが、共同通信の主要約80都市への調査では、定員充足率は全国平均で49%にとどまった。設置主体は中小企業が54%を占める。従業員以外の地域の子どもを受け入れているところも多い。

 

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