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【社会】

「辺野古 国民で議論」幻に 小金井市議会 土壇場 意見書案採決見送り

「意見書案採決が幻となり、残念」と語る陳情者の米須清真さん=東京都小金井市で

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 「沖縄に米軍基地が偏在している状況を変えるため、国全体で議論を起こしたい」。沖縄出身の若者がそんな願いを込めた意見書が、幻になろうとしている。米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設を巡り、東京都小金井市議会(定数二四)が国に対し移設の中止などを求める意見書を提出するよう陳情したが、基地の移設先を「全国の自治体を候補地とする」という文面から、土壇場で意見書案の採決が見送られたためだ。 (花井勝規)

 陳情したのは、小金井市在住の米須清真(こめすきよさね)さん(30)。両親は宜野湾市出身で、自身は名護市内の小中学校を卒業。愛媛県内の大学を卒業後、出版社に就職するため二十二歳で上京した。

 陳情では、辺野古への移設中止と普天間飛行場の運用停止を求めている。さらに、基地問題への「当事者意識」を持ってほしいと、「普天間の代替施設は沖縄以外の全国すべての自治体を候補地とし、代替施設が国内に必要か否か国民的議論を行い、一地域への押しつけにならないよう公正で民主的な手続きで決定する」と盛り込んだ。

 米須さんは、同様の意見書を国に提出するよう各地の議会に働きかける市民グループ「新しい提案実行委員会」の一員。たった一人で市議会の各会派を訪ね、意見書案や陳情の趣旨を説いて回った。

 沖縄の米軍基地について真剣に考えるようになったのは、ここ数年だ。「オスプレイってかっこいいね。今度、写真撮ってきて」。学生時代の友人から無邪気に頼まれた時は、全身が硬直した。基地が集中する沖縄とそれに無関心な本土の人たち。「その後も、ギャップの大きさに頭がくらくらするような経験をしてきた」と振り返る。

 辺野古移設に反対する民意を踏みにじるように政府が建設を推し進め、県民の間に無力感が漂うのを肌で感じていた。実行委のメンバーで那覇市在住の司法書士安里長従(あさとながつぐ)さん(46)と議論しながら一つの答えを見つけた。「沖縄に米軍基地が偏在していることは多くの国民が知っている。もう差別しないでほしいという思いを伝えられれば、道が開けるのでは。東京のウチナーンチュ(沖縄の人)として何かしなければ」

 陳情は九月二十五日の市議会で自民など反対六、公明が退席、共産(四人)や一人会派など賛成一三で採択された。通常なら陳情に基づく意見書案を議会として採決する段取りだが、十日後の議会運営委員会で共産が「判断を誤った」と賛意を撤回。意見書が否決される見込みとなり、本会議での採決が見送られた。

 「代替施設は沖縄以外の全国すべての自治体を候補地に」という文面について、共産党市議団の水上洋志幹事長は「私たちが米軍基地の本土移設を容認したと誤解が広がった。党の方針と異なる。米軍基地を国内のどこかに移す議論には乗れない」と説明した。

 採択した陳情に基づく意見書案の提出を見送るのは異例だが、意見書案はこのままお蔵入りになる可能性が高い。「本土での移設先を決めるというより、国民的議論をしてほしいという思いだった」と米須さん。「意見書が採択されれば全国的な先駆けになり、本土での議論も広がったはずなのに残念。十二月議会に望みをつなぎたい」と話す。

 

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