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【社会】

東電元副社長 被告人質問 「無責任」「期待外れ」傍聴の被災者ら憤り

東京電力の武藤栄元副社長の被告人質問後、記者会見で元副社長への怒りをあらわにする河合弘之弁護士(左)ら福島原発告訴団=16日、東京・霞が関の司法記者クラブで

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 「まともに答える気がないのか」。東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された武藤栄元副社長(68)。十六日の被告人質問で自身の責任を否定する発言を繰り返す姿に、傍聴した被災者らは怒りの声を上げた。 (小野沢健太、山田雄之)

 当時の責任者の声を直接聞こうと、五十八の傍聴席に三百三十四人が申し込んだ。廷内に入れた被災者らは、武藤元副社長の言葉を逃すまいと耳を傾けた。

 この日、武藤元副社長の言葉にひときわ力が入ったのが、弁護人から仕事の信条を問われたときだった。「正直さ、誠実さ」。そう述べた上で、利益よりも安全性を優先させてきたと強調。傍聴席からはため息や失笑が漏れた。

 その後は「聞いてない」「指示してない」の繰り返し。ある被災者は「少しは真相が分かるかと思ったが、まるっきり期待外れ」と憤った。

 「無責任でいいかげん。あの人が原子力部門のトップだったのだから、東電に原発事故を防げるわけないと絶望感を抱いた」

 東電旧経営陣らを告訴・告発した福島原発告訴団は閉廷後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、告訴団の弁護団長の河合弘之弁護士が武藤元副社長の証言を厳しく非難した。

 武藤元副社長は、国の地震予測「長期評価」に基づいて高さ一五・七メートルの津波が起きる可能性を示した試算に対し「信頼性がない」と述べた。河合弁護士は「有識者の議論の結果であることに目を向けず、最初から試算を受け入れないと決めていた」と批判した。

 また、試算された津波の高さを下げられないか、部下に尋ねたとされる点について、武藤元副社長が「ありえない」と強く否定。海渡雄一弁護士は「当時の部下の調書に、はっきりと書かれている。部下にとってうそをつく必要は何もない。自分に不利なことは一切認めない姿勢が明らかだ」とした上で、「冒頭の謝罪は何のためだったのか。中身のない謝罪は被災者に対して失礼だ」と語気を強めた。

 

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