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【社会】

東電公判 元副社長「メール記憶ない」 対策不備 震災直前に社員から報告

 福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣三人の第三十一回公判が十七日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。武藤栄(さかえ)元副社長(68)は被告人質問で、事故直前に「原子力安全・保安院(当時)から津波対策が不十分だと指摘された」と報告したとする社員からのメールについて「見た記憶がない」と述べた。社員は公判で報告を証言しており、説明が食い違っている。

 また、津波の試算結果の報告を受けてから専門家への研究依頼を指示するまでは「誰とも相談していない」と明らかにした。

 公判の争点は、東日本大震災の大津波を予測し、事故を防ぐことができたかどうかで、三人はいずれも無罪を主張している。

 東電の担当者は二〇〇八年三月、国の地震予測「長期評価」を基に最大一五・七メートルの高さの津波が原発の敷地を襲うとの試算結果を得て、同六月に当時原子力・立地本部副本部長だった武藤元副社長に報告した。

 東電社員の公判証言によると、大震災四日前の一一年三月七日、試算結果を伝えた保安院の担当者から対策の不備を指摘され「指導することもあり得る」と言われた。その日の夜に元副社長にメールで連絡したが、反応がないまま事故当日を迎えたという。

 元副社長は被告人質問で「事故後にメールを探したが、見つからなかった。見ていたら答えを返したと思う」と述べた。検察官役の指定弁護士は、宛先に元副社長が含まれたメールを証拠として法廷のモニターに示した。

 元副社長は十六日の被告人質問で、長期評価には信頼性がなく、これを基に対策を決められる状況ではなかったため、地震専門家らが所属する土木学会に試算手法の検討を依頼するよう担当者に指示したと説明。検察官役の指定弁護士の「大津波を予測できたのに対策を先送りした」との主張に対し、「先送りと言われるのは心外だ」と反論していた。

 

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