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【社会】

武藤元副社長「事故防ぐのは難しかった」 東電公判・被告人質問

 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の公判が十七日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。十六日に続いて被告人質問を受けた武藤栄(さかえ)元副社長(68)は、「最善の努力はしてきたつもりだが、事故を防ぐのは難しかった」と述べ、過失はなかったと強調した。

 東電が津波対策の見直し作業中だった二〇〇八年七月、武藤元副社長は部下から最大一五・七メートルの津波が襲来するとの試算結果を伝えられたが、防波堤工事などの対策は取らず、外部機関に試算手法の「研究」を依頼するよう指示した。

 検察官役の指定弁護士から、研究にはどのくらいの期間がかかるとみていたのか問われ、武藤元副社長は「一年では短い。二年…そんなイメージ」と述べた。一方で、部下に研究の進捗(しんちょく)状況を尋ねたのは〇九年の一度だけだったと明かした。

 さらに、試算に基づいて対策を取っていれば事故を防げたか問われると、「あの時点で具体的な対策があったわけではない。防げたかはよく分かりません」と説明。具体策を検討していれば防げたのか、重ねて質問されるといら立ちを見せ、「検討していないので分からない」と答えた。

 これまでの公判では、部下らが武藤元副社長の指示について「津波対策の先送り」だったとの趣旨で証言したが、十六日の被告人質問で元副社長は「先送りではない。大変心外だ」と反論した。

 公判の焦点は、旧経営陣が海抜一〇メートルの原発敷地を超える高さの津波を予測し、対策を取れたかどうか。勝俣恒久元会長(78)、武黒(たけくろ)一郎元副社長(72)がともに強制起訴されているが、武藤元副社長は津波対策の実質的な責任者だった。

 今後の被告人質問は、武黒元副社長が十九日、勝俣元会長が三十日。三人はいずれも無罪を主張している。 (池田悌一)

 

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