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【社会】

服部剛丈さん銃撃事件26年 銃なき世界へ 絆の童話

銃による事件の撲滅を願い、パソコンに童話を打ち込む服部美恵子さん=名古屋市港区で(加藤晃撮影)

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 一九九二年、米国留学中の服部剛丈(よしひろ)さん=当時(16)、愛知県立旭丘高二年=を銃撃事件で失った母美恵子さん(70)=名古屋市港区=が、米国での銃規制の実現を願う童話の執筆に取り組んでいる。米南部フロリダ州の高校で今年二月に起きた銃乱射事件で友人を失った少女と出会い、創作のヒントを得た。剛丈さんの事件から十八日で二十六年。「日米の市民の連帯で銃社会は変えられる」。希望を童話の中に込める。 (細井卓也)

 童話のタイトル案は「アリッサとヨシ」。ヨシは剛丈さん、アリッサさんはフロリダの事件で犠牲となった女子高校生だ。物語は二人が天国で出会う想定で、剛丈さんが悲嘆に暮れるアリッサさんを慰め、命を大切にする社会の実現のため銃規制運動に取り組もうと説き、日米で続く運動の力になろうと決意する。

 物語を考えたきっかけは、アリッサさんの友人で同級生のエンゲルバート美愛(みあ)さん(15)の存在だ。銃乱射事件の後、同級生らと銃規制を訴える「ネバー・アゲイン運動」をしていた。活動を知った美恵子さんと夫政一さん(70)は六月中旬、夏休みに日本人の母親と来日していた美愛さんと東京都内で会った。七月には自宅に招き、銃規制を訴える「YOSHIの会」のメンバーらと交流した。

 美恵子さんは、美愛さんが「亡くなった人の『声』となって活動したい」と語り、銃が簡単に手に入らない日本の社会を参考にするよう呼び掛ける姿勢に感銘。「私たちの考えと全く同じで不思議な縁を感じた。おとなしかった少女が友人の死を機に立ち上がったことにも感動した」

 会の活動を支える名古屋市立大の平田雅己准教授(49)=米現代史=から、銃規制の重要性を幅広い世代に訴える童話制作を提案されていたこともあり、美愛さんの体験を踏まえた物語を書き始めた。

 一度書いてみた文章はA4用紙で四枚。政一さんや会メンバーにも助言をもらって推敲(すいこう)し、英文でも執筆している。フロリダの事件から一年となる来年二月までに完成させ、アリッサさんの母親に読んでもらうつもりだ。会のホームページに掲載する予定だという。

 美恵子さんが今後の銃規制活動に期待するのは若い世代。「米国の現政権では逆行しているように見えるが、市民レベルではしっかり活動できている。剛丈の事件から二十六年たつが美愛さんら若い人らの活動は希望」と話している。

<服部剛丈さん銃撃事件> 1992年10月17日(日本時間18日)、剛丈さんは留学先の米ルイジアナ州バトンルージュで、ハロウィーン会場と間違えて訪れた民家で、「フリーズ(動くな)」と警告した男性に射殺された。男性は正当防衛が認められ無罪となったが、剛丈さんの両親が起こした民事訴訟では、計65万3000ドル(現在のレートで約7380万円)の支払いを男性に命じる判決が確定した。

<フロリダ高校銃乱射事件> 2018年2月14日(日本時間15日)、米フロリダ州パークランドの高校で、元生徒の19歳の少年が銃を乱射し生徒と教職員ら17人が死亡した。少年は殺傷能力の高い半自動小銃を所持。前年に退学処分となっていた。

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