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【社会】

東電公判 武黒元副社長、津波報告「記憶にない」 武藤氏と食い違い

 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の第三十二回公判が十九日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。武黒(たけくろ)一郎元副社長(72)は被告人質問で、事故前の二〇〇八年に津波の試算結果の報告を受けたかどうかについて「記憶にないが、あってもおかしくはない」と述べた。武藤栄(さかえ)元副社長(68)は十六日の被告人質問で報告したと説明していた。

 被告人質問の冒頭では、事故の犠牲者や避難者に謝罪。「原発の責任ある立場にあった者として、皆さまに深くおわび申し上げる」と深く一礼した。武黒元副社長は「事故は予測できなかった」と無罪を主張している。

 武藤元副社長によると、〇八年六月に東電の担当者から、国の地震予測「長期評価」を基に最大一五・七メートルの高さの津波が原発の敷地を襲うとの試算結果を伝えられた。しかし、長期評価には信頼性がないと判断し、七月に試算手法の研究を専門家に依頼するよう指示。試算結果は八月になって武黒元副社長に報告したという。

 武黒元副社長は、この報告は記憶がないとしたが、〇九年四〜五月には当時原子力設備管理部長だった吉田昌郎元第一原発所長(故人)から試算結果の報告を受けたと説明。「長期評価には根拠がないため、専門家の研究結果が出ないと先に進めないと思った」とした。

 検察官役の指定弁護士の主張では、これに先立つ〇八年二月にも、被告の三人が出席した社内会議で、長期評価を基にした暫定の試算では津波が七・七メートル以上になると説明があり、対策に長期評価を取り入れる方針が了承されたとされる。

 これに対し、武黒元副社長は被告人質問で「説明は覚えていない。方針も了承されていない」と話した。

 

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