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【社会】

サッカー教室、みんなに夢を 無料で中学生に本格指導 江戸川区で毎週

毎週開かれる教室で、ボールを追う中学生ら=いずれも東京都江戸川区の江戸川小学校で

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 子どもの食事支援をする人たちとサッカー関係者がタッグを組み、中学生対象の無料のサッカー教室を、東京都江戸川区で毎週開いている。有料スクールなら年間二十万円以上ともいわれる費用を負担しなくても、英国の資格を持つコーチらの指導を毎週受けられる。誰もが夢を追えるようにすることが、大人たちの夢だ。 (加藤健太)

 「パスを出したら動かなきゃ」「そうそう、いい感じ!」。「みらいフットボールクラブ」が開かれた夜、区立江戸川小学校の校庭に、コーチの指示と、ボールを夢中で追い掛ける九人の少年らの声が響いた。

 江東区の三年生(14)は「思い切りやれた。来週も来たい」と汗を拭った。夢はJリーガー。しかし、六月に学校の部活を引退した後は練習の場がなくなり、高校生の姉を相手に、空き地でボールを蹴っていた。ゴール裏で練習を見守った母親(53)は「うちの経済状況では、有料のスクールに通わせるのは難しい」と打ち明けた。

 教室は選手育成が目的の本格的な内容で、都内で会社を営む小川晶子さん(68)が、社会奉仕団体ライオンズクラブの八人の仲間と共に運営している。子どもたちへの給食を続ける小川さんが二年前、男子中学生から聞いた「お金がかかるから、サッカーをやらせてほしいと、親に言えない」という一言がきっかけだった。

参加者にアドバイスをする中村将太コーチ(右から4人目)

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 部活動は学校によって実力に差があり、本格的にサッカーに取り組みたい子は、民間のクラブチームに入ることが多い。だが、有料スクールやクラブは、ユニホームや道具、合宿などで年間二十万〜三十万円かかるといわれる。

 小川さんは「費用の心配をしないで、友達と一緒にプレーできる場をつくりたい」と知人らに相談。J2横浜FCの小野寺裕司会長兼社長が練習着を調達し、世田谷区のスクール運営者が、英国で指導資格を取得した中村将太さん(27)ら二人を、コーチとして派遣した。ライオンズクラブから寄付金もあり、今年二月に運営組織が発足し、九月から活動を始めた。

 コーチを無償で引き受けた中村さんは、経済的事情が、子どものスポーツに影響する日本の現状に違和感を抱いていた。「誰にでも教えられる場が欲しいと思っていた」

 東京ではサッカー禁止の公園が多く、気軽にボールを蹴れない。グラウンドを取ろうにもお金がかかる。教室の開設で最も苦労したのは、二十三区内で夜間に無料で使えるグラウンド探しだった。公立学校の校庭も有料スクールなどに押さえられ、空いていないことが多い。

 「本来、ボール一つで始められるのがサッカー。この教室から、いつかスター選手が生まれたらいい」と中村さん。子どもたちを見守りながら、大人たちはそんな夢を抱いている。

◆居住地制限なし

 教室は当面、毎週水曜午後7〜9時、江戸川区立江戸川小(江戸川1の37)で開く。有料スクールやクラブに入っていない中学生が対象で、居住地に制限はない。定員は各学年20人で、体験入会を毎週受け付けている。問い合わせは事務局=電03(5244)9992=へ。

 

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