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【社会】

深みある知性を生かす 文化勲章 劇作家・山崎正和さん

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 深みある知性を生かし、幅広い文筆の世界で斬新な表現や解釈を披露してきた。文化勲章の知らせに「国民から頂いた。ありがとうございます」と、謙虚に頭を下げた。

 二十代で執筆した戯曲「世阿弥」で劇作家として注目された。一九八四年、日本人の価値観の多様化を見通した評論「柔らかい個人主義の誕生」で吉野作造賞を受賞。中教審会長だった二〇〇七年には講演で、学校教育としての道徳の必要性を否定し、気骨を示した。

 八十代半ばを迎え、筆が遅くなったと嘆くが、好きな言葉との付き合いはやめられない。今春、最新刊「リズムの哲学ノート」を出すなど、ほとんどの時間を「読むか、書くかしている」と笑う。

 近年はインターネットを介した表現の世界の行方が気掛かりだ。批判的な報道をフェイクニュースと攻撃するトランプ米大統領を例に「誰も責任を取らない情報が氾濫する事態が強まっては困る」と警鐘を鳴らした。

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◆音楽文化つくってきた 文化功労者 作曲家・都倉俊一さん

 山口百恵さんの「ひと夏の経験」、ピンク・レディーの「UFO」など多くのヒット曲を手掛けた。作曲を始めた時代は高度成長期。「がむしゃらに働き、まがりなりにも日本の音楽文化をつくってきた」と歩みを語る。文化功労者に選ばれ「現役の作曲家として勇気をいただいた」と喜ぶ。

 大学在学中にデビューし、昭和の歌謡界をリードした。作詞家の阿久悠さんと組んでヒット曲を連発。「いい兄貴分みたいな感じでかわいがってもらった」。その中でもピンク・レディーの大人気には「レールに乗せたのは僕らだが、僕らが追いつけなくなった面もある。今考えても不思議です」と振り返る。

 日本音楽著作権協会(JASRAC)会長などを経て現特別顧問。インターネットによる環境の激変に「クリエーターの権利は守られなければならない」と危機感を抱く。今後を見据え「音楽のつくり方が変わっても、人間が持つ情緒は変わらない。それを信じて勝負したい」と語った。

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◆過去作品が拍手くれた 文化功労者 作家・高樹のぶ子さん

 「過去の作品が立ち上がって一斉に拍手してくれたような感覚になった」。文化功労者に選ばれた喜びを独特の言い回しで表現し、柔らかな笑顔を見せた。一九八〇年のデビュー以降、芥川賞や川端康成文学賞など数多くの賞を手にしてきたが、「これまでの六十あまりの作品は失敗作ばかり」と満足することはない。自身への不満や後悔が次の執筆への推進力になっていると分析する。

 長年「恋愛小説の名手」と評されてきたが、近年は自伝的小説やミステリーなど新たな分野にも挑んだ。「いつも自分のどこかが工事中。工事して次にチャレンジするのはすごく楽しい」。執筆活動の合間にはクラシック鑑賞や週一回のヒップホップダンスでリフレッシュし、英気を養う。

 今後のテーマとして「古典」を挙げる。「古典の中に生きてきた人間を生々しくよみがえらせる。小説家としてそういう仕事と格闘したい」。意欲は尽きない。

 

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