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【社会】

幻の児童誌、原画100点発見 神保町で戦前出版「カシコイ」

創刊号に掲載された鈴木寿雄の「羽子板の店」(左上)、「ガイセン」(右下)など原画の一部=いずれも京都市の京都国際マンガミュージアムで

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 名作「泣いた赤おに」の発表の舞台になるなど、戦前に著名な作家らが活躍した幻の児童月刊誌「カシコイ」に掲載された絵の原画百点が見つかったことが二十六日、分かった。専門家は「埋もれた児童文学史に光を当てる発見。立ち遅れた童画家研究にも影響を与えるだろう」と評価する。

 「カシコイ」は東京・神保町の出版社「精文館」が一九三二年、小学校低学年向けに創刊。童話作家の浜田広介(ひろすけ)や小川未明、新美南吉、漫画家の横山隆一や中島菊夫、童画家の初山滋ら、そうそうたる作家が作品を寄せていた。だが雑誌はわずかしか現存せず、実態はほとんど分からなくなっていた。

 発見された百点は初山や鈴木寿雄、木俣武らの童画。精文館関係者の遺族が保管していた。うち六十六点は、現存する同誌で掲載を確認。残る三十四点も、作品の形状や保管状況から原画とみて間違いないという。鮮やかな色彩や生き生きとしたタッチが魅力的だ。

今回見つかった「カシコイ」の一部

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 児童出版文化史を研究する大阪国際児童文学振興財団の遠藤純特別専門員は「子ども向けでも画家たちが高い意識で仕事をしていたことが伝わってくる。原画には編集指示やサイン、作家の住所などが書き込まれており、児童出版や作家の研究に今後大きな意味を持つだろう」と意義付ける。

 発見された原画や精文館関連資料の一部は、十二月に京都国際マンガミュージアム(京都市)で展示予定。「カシコイ」の編集を総括した藤本卯一の孫で記者の行司千絵さんが原画発見の経緯などをつづった文章が岩波書店の雑誌「図書」の十一、十二月号に掲載される。

 

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