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【社会】

福島復興の象徴、頓挫 最大級洋上風力 撤去へ

撤去されることになった浮体式洋上風力発電施設。後方は福島第一原発=今年3月、福島県沖で、本社ヘリ「おおづる」から(池田まみ撮影)

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 政府が東京電力福島第一原発事故からの復興の象徴にしようと福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設三基のうち、世界最大級の直径百六十七メートルの風車を持つ一基を、採算が見込めないため撤去する方向であることが二十六日、分かった。商用化を目指し実証研究を続けていたが、機器の不具合で設備利用率が低い状態が続いていた。

 福島県は原発事故後、再生可能エネルギーの導入を進めており、順調に進めば政府の後押しの下、大規模な風力発電所を建設する構想もあったが頓挫した格好だ。経済産業省関係者は「現状では維持費もかかるため、撤去方法を検討している」と話す。他の二基の実証は二〇一八年度で終了する予定だったが、期間を延長して商用化の可能性を探る方針。

 実証研究は福島県楢葉町沖約二十キロに設置した風車三基と変電所で一二年から実施しており、これまでに計約五百八十五億円が投じられている。問題となっているのは出力七千キロワットの一基で、建設費は約百五十二億円。一五年十二月に運転を開始したが、風車の回転力を発電機に伝える変速機などで問題が続発。一七年七月からの一年間の設備利用率は3・7%に低迷しており、新規洋上風力の事業化の目安とされる30%に大きく届かなかった。

 今年八月には経産省が委託した専門家による総括委員会が「初期不具合や解決に至らなかった技術的課題があり、商用運転の実現は困難」「早急に発電を停止し、撤去の準備を進めるべき」と指摘。風車の解体場所として、関連企業の工場に近い淡路島沖か、製造した三菱重工業の長崎造船所の二案を軸に検討に入っている。撤去には建設費の一割程度かかるとみられるという。直径八十メートルで出力二千キロワットの風車は設備利用率32・9%と目安を上回っているが、直径百二十六メートルで五千キロワットの風車は18・5%にとどまっている。

<洋上風力発電> 海上に設置した風車で発電する。陸上は風力発電や太陽光発電の適地が少なくなっており、周囲を海に囲まれた日本にとって有望な再生可能エネルギーとして開発が進んでいる。海底に固定した土台の上に風車を設置する「着床式」と、海上に風車を浮かべる「浮体式」の2種類があり、近海の水深が深い日本は浮体式が適しているとされる。発電した電気は海底ケーブルを通じて陸地に送る。

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