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【社会】

<危ない!バス内転倒>ノンステップ、新型ほど「心配」 ラッシュ対応 減った座席

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 新型のノンステップバスは座席が少なくなり、高齢者にとって危ないのでは−。読者から、こんなご意見が「バス」取材班に寄せられた。国やバス事業者に確認すると、従来型より七〜八席少ないバスの導入が進んでいた。高齢者のバス利用が増え、車内での転倒事故が課題となる中で、なぜこうなったのか。詳しく調べてみた。 (梅野光春)

 「ノンステップバスは乗りやすい。でも座席数は少なくなった」と指摘するのは、横浜市旭区の山崎代史枝(よしえ)さん(77)。自宅から駅まで遠く、バスが生活の足という。ところが、最近増えてきた新型は座席が減った。立って乗る時は両手で手すりにつかまり、何とか体を支えている。「立っていると、転倒しないか心配。安心して座りたい」と漏らした。

 かつてのバスは、乗降口に二段の階段があり、車内は平たんだった。この階段をなくすため、一九九七年にノンステップバスが登場。しかし、ノンステップバスは車内前部は平たんだが、床下の機器類が後方に残った分、後部には一〜二段の段差が残った。

 その結果、「混んでいても段差が邪魔で後部に乗客が進まない状況」(都内の大手バス会社)が生まれた。ラッシュ時に乗り込めない人が出ることも。欠点を補うため、段差周辺の通路を広くして後部への移動を促す「ラッシュ対応型」の導入が各社で進んだ。広くした分、後部座席は片側二列から一列に減った。

 二〇一五年には、国土交通省がノンステップバスの認定基準を改定。着席時の安全性を高めるため、車内前部では横向きの長椅子(優先席)を、一人掛けの前向きに変えた。長椅子の下にあった燃料タンクを移すため、別の椅子を撤去し、座席数はさらに減った。

 都交通局によると、都営バスは現在、全てノンステップバス。このうち〇九年度までに購入した車両は三十席が主流だったが、一〇年度以降は「立って乗る人を含めて乗車定員を増やそうと、新規購入は全てラッシュ対応型にした」という。一六年度以降に購入した新型の座席数は、二十二〜二十三席に減った。

都営バスの新型ノンステップバス車内。後部座席は1人用の椅子が増えた

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 都バスで通勤する東京都荒川区の渡壁(わたかべ)典弘さん(47)は、本紙に「乗客にはお年寄りも多い。新型で席が減り、これでバリアフリーと言えるのか。安全を確保するなら、座席を増やさないと」と苦言を寄せた。

 朝夕ラッシュ時は通勤客が多い一方、昼間は高齢者の利用が進んでいる。バスの急停車時や発車時に車内で転倒してけがをする高齢者も多い。輸送効率を優先するあまり、座席数を減らして立って乗る人を増やせば、転倒事故を減らすのは難しくなるのではないか。

 都交通局は本年度から、新型の欠点を補うため、車内の段差をなくしたフルフラットバスを全国で初めて導入する予定だ。座席数は「増やすか、ラッシュ対応型のままにするか。まさにいま議論している」としている。

◆ご意見や体験談募集

 安全で快適な乗り合いバスのあり方について、一緒に考えてみませんか。ご意見や体験談を募集します。連絡先を明記の上、メールはshakai@tokyo-np.co.jp、ファクスは03(3595)6919、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞社会部「バス」取材班へ。

 

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