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【社会】

旅先で被災、店へおいで 川崎や横浜の10店、食事提供タッグ

ステッカーを手にする(左から)河原みきさん、河原義文さん、小野さくらさん=川崎市麻生区で

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 近年相次ぐ台風や地震などの災害時、避難先すら分からず途方に暮れる観光客は少なくない。土地勘がなく困っている人々を支えたいと、川崎市などの飲食店が、災害時に食事を無償で提供するネットワークづくりを始めている。飲食店の多い首都圏の力を生かす試みはじわりと広がっている。 (安田栄治)

 災害時に食事を無償で提供する「まごころキッチン」プロジェクトは今年一月に動きだした。発案したのは、同市麻生区の介護士の小野さくらさん(42)と、川崎区でラーメン店を営む貢一(こういち)さん(38)夫妻。

 二年前の熊本地震で行政の非常食提供が遅れ、食べ物を入手できない人が大勢いたことに心を痛めたのがきっかけだ。九月には小野さんの長女(19)の女友達も北海道を旅行中に地震で被災した。避難所に入れず「今夜は野宿するしかない」。余震が続く中、届いた知らせから不安でたまらない様子が伝わってきた。

 「旅先で困っている被災者を孤立させたくない」との思いが一層強まった。プロジェクトは飲食店が災害時、メニューの料理や、それが困難な場合には手持ちの食材やレトルトの非常食などで作った食事を被災者に提供する内容。

 趣旨に賛同してくれる店を地元のイベントでチラシを配って募り、知り合いの飲食店主に参加を呼び掛けた。「緊急災害時 飲食提供店」と書かれたステッカーを作り、同意する店には店頭に貼ってもらうことにした。

 協力店は、中原区のレストランや横浜市のパン屋など半年で市内外十店に増えた。小野さんの知人で「cafe Sante」(麻生区)の店主、河原義文さん(49)は「災害時に何か協力できないかと考えていた。小野さんの誘いに二つ返事で応えました」。

 店自体が被災しても可能な限り食事が提供できるよう、小野さんは河原さんの妻みきさん(48)と、電気やガスが使えなくなった場合の食材のおいしい食べ方を研究中。「cafe Sante」で、水で軟らかくした白米で作った団子や、水に漬けてから卓上コンロで湯がいたスパゲティを試した。災害時に店内の食材を融通し合えるメリットもあるので協力店を増やしたいという。

 北海道地震では、札幌市が宿泊先のない観光客や帰宅困難者に地下歩道を開放。おにぎりなどが提供された。小野さんは「二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックで旅行者や外国人観光客が増える。災害時に路頭に迷うことなく、気を休められる場所を提供できたら。泊まりたければ泊まればいい。できることはするから『寄っておいでよ』と呼び掛けたい」と話している。

 

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