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【社会】

<税を追う>741億円投じ国産部品ゼロ 戦闘機F35A 搭載計画大幅遅れ

ステルス戦闘機F35A

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 米国から購入している次期主力戦闘機「F35A」を巡り、防衛省が二〇一三年度から国内企業を部品製造に参画させるため、IHIと三菱電機の生産ラインの整備費などに七百四十一億円を投じながら、国産部品を内蔵した機体はまだ一機も納入されていないことが分かった。米国からの原材料輸入の遅れなどが理由。計画した国産部品をすべて内蔵した機体は、全四十二機のうち最大でも八機にとどまる見通しだ。 (「税を追う」取材班)

 F35Aの製造元は米大手軍需メーカーのロッキード・マーチン。防衛省は一二年度から米国の対外有償軍事援助(FMS)を使って購入し、これまで九機が納入されている。

 防衛産業の育成につなげたい防衛省は、ロッキードの下請けに入った国内企業の工場や生産ラインの整備費や維持費を負担している。一機で何万ともいわれるF35Aの部品のうち、国内で製造できるのは二十九個。それでも一七年度までに契約ベースで、エンジン部品を製造するIHIに五百二十一億円、レーダー部品を造る三菱電機に二百二十億円を支払った。この他に、機体の組み立てや検査を担う三菱重工業に千百二十九億円払っている。

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 機体の価格は米国から完成品を輸入した最初の四機は一機当たり九十六億円だったが、日本企業の参画や円安の影響で、一三年度の五機目以降は百五十億円前後に高騰した。

 だが、一七年に入ってもIHIと三菱電機では、本格的な製造は始まらず、部品によっては契約に至っていないケースまであった。

 防衛装備庁の担当者は「製造に必要な素材を米企業がなかなか送ってこなかったり、米企業からの発注が遅れ契約手続きに入れなかったりしたため」と説明する。

 会計検査院は一七年九月、国産部品の搭載遅れについて装備庁の対応の不備を指摘した。日米間で協議し、国内で部品の製造が一部始まったのは同年十二月だった。

 装備庁によると、国産部品を内蔵したエンジンの搭載は二〇年度納入の十七機目から、レーダーは二一年度納入の二十三機目からの見通し。すべての部品が内蔵されるのは早くても三十五機目以降になるという。

 IHIは「最先端の戦闘機用エンジン技術に接することにより、技術基盤の維持・高度化に資することができた」とコメント。三菱電機は「回答を差し控える」、ロッキード・マーチン広報担当は「日本の調達関連であるので、防衛省に相談する方が適切かもしれない」と回答した。

◆国内企業参画は妥当

<防衛装備庁プロジェクト管理部の話> 国内企業参画を進めていることは妥当と考えている。防衛装備庁としては、日本企業が製造した部品がなるべく早期に搭載されるよう、引き続き、米政府や日米関係企業に働き掛けていきたい。

<F35A> レーダーに探知されにくいステルス機能を持ち、敵を感知する情報収集能力が高い。米国を中心に9カ国で共同開発した。今年から順次、航空自衛隊三沢基地に配備されている。防衛省の試算では、全42機の取得費(約6000億円)と30年間運用した場合の維持整備費などを合わせると約2兆円に上る。

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