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【社会】

<税を追う>地上イージス 総額6000億円超も 防衛省公表は2基4500億円

ルーマニアに設置されたイージス・アショアの施設=2016年5月(ロイター・共同)

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 取得費と三十年間の維持費を含め、防衛省が二基で約四千五百億円と公表している地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。ただ、システムを格納する建屋や迎撃ミサイルの費用は含まれていない。さらに、搭載するレーダーを巡り「高額の射撃試験が必要になる」との指摘がある。今後、ミサイル費用を含めると一千億円単位の増額になり、総額で六千億円を超す可能性もある。 (「税を追う」取材班)

 昨年十二月の地上イージス導入決定後、防衛省はシステムの構成品の選定作業を実施。レーダーは米ミサイル防衛庁から、米ロッキード・マーチン製「SSR」と米レイセオン製「SPY−6」の二種類の提案を受け、今年七月にSSRを選んだ。

 SSRは、二〇二〇年に米アラスカに配備される次期警戒管制レーダー「LRDR」を基に開発する。現在、海上自衛隊が五隻保有するミサイル防衛対応のイージス艦のレーダー「SPY−1」に比べ、探知距離が二倍以上になるなど、性能は向上するという。

 昨年十一月の国会で、小野寺五典防衛相(当時)はイージス艦を参考に地上イージス一基の取得費を約八百億円と試算したが、今年八月の概算要求の段階で、千二百三十七億円に膨らんだ。SSRは一基で百七十五億円ほどとみられる。米国のインフレによる価格上昇などの要因もあるが、防衛省幹部は「SSRの搭載が価格上昇の主たる要因になった」と説明する。

 地上イージス二基の三十年間の維持・運用費は約二千億円。本体と合わせ約四千五百億円の総費用には建屋などの施設整備費や、一発三十億円以上とされる新型迎撃ミサイル「SM−3ブロック2A」、発射装置などは含まれていない。

 さらにSSRについて、イージス艦の運用経験がある海上自衛隊OBは「実際に弾道ミサイルに模した標的を探知・追尾し、センサーとして機能するか確かめる射撃試験が必要になる」と指摘している。

 米軍事企業関係者によると、米海軍が導入を決めたレイセオン製のSPY−6は、米海軍が五億ドル(約五百七十億円)以上の費用をかけ、一連の試験を実施したという。

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 SSRの試験も同額程度の費用がかかれば、施設整備費やミサイルの費用などと合わせて一千億円単位の増額が考えられる。

 防衛省防衛計画課は「われわれが求めている性能が実際に発揮できるか、運用開始前に確認することは必要だと考えている。追尾試験や実射試験の具体的な方法や費用負担は今後、米政府などと協議して決めたい」と話している。

◆取材班から 費用の全体像示せ

 防衛省側の説明のたびに百億円単位で値段が上がったイージス・アショア。日本の防衛企業のある幹部は「迎撃ミサイルなどもろもろ含めたら、総額は一兆円近くになるのではないか…」と推測する。

 一兆円の数字に根拠はなく、防衛省の幹部も「さすがに一兆はないと思う」と首を横に振るが、ではいったい、いくらくらいかかるのか。総額が示されない以上、疑問は当然出てくる。

 最初の値段は今の三分の二だった。自衛隊の幹部OBは「まだレーダーが決まっていないから、安く説明しておきましょう、という理屈は分からないでもない」と言いつつも、「最初に小さい数字を出すのは官僚の悪い癖」と断じる。

 軍事機密を理由に防衛省が搭載するミサイルの数を明らかにできないのは分かるが、仮に二基で計四十発なら千二百億円を超す。イージス・アショアがどれほど必要なのか、それを議論する国会は始まったばかりだ。やはり、かかる税金の全体像は示す必要がある。 (藤川大樹)

◆ご意見・情報を募集

 シリーズ「税を追う」へのご意見、情報を募集します。メールはshakai@tokyo-np.co.jp、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞社会部「税を追う」取材班へ。

 

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