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【社会】

津波被災工場、解体開始 閖上、爪痕残す建物消える

解体作業が始まった、宮城県名取市閖上地区の水産加工会社「佐々直」の旧本店工場=9日午前

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 東日本大震災の津波で深刻な被害に遭った宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区で、流されず残っていた「笹かま」で知られるかまぼこ工場の解体作業が九日、始まった。名取市は震災遺構として一時保存を検討していたが、「民間企業の施設を遺構にするのはどうか」など異論が根強く断念した経緯がある。同地区で津波の爪痕を残す建物はほぼなくなる。

 建物は、一九八二年に建てられた地元水産加工会社「佐々直」の旧本店工場(鉄骨二階建て)。大型重機を使い、約二週間かけて内部材やコンクリートなど分別しながら作業を進める。

 この日は従業員ら約九十人が駆け付け、工事の安全を願う神事の後、記念撮影をして工場に別れを告げた。元従業員の坪田瑠璃子さん(71)は「震災で亡くなった同僚を思い出した。つらいときも楽しいときも共にやってきた工場がなくなるのは悲しいが、集まった仲間たちを見て絆を感じた」と目を潤ませた。

 同地区を襲った津波の高さは最大約九メートルに達したが工場は残った。あの日、佐々木直哉社長(72)は従業員を帰して、独り工場にとどまり二階に避難。周囲の建物の大半が流失する中、奇跡的に助かった。

 

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