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【社会】

発達障害 亡き息子の夢継ぐ 障害児専用クライミングジム 埼玉でオープン

自宅車庫内にオープンしたジムの人工壁を登る弓田祐代さん=埼玉県鴻巣市で

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 障害のある子どもに利用対象を絞ったクライミングジムが先月、埼玉県鴻巣市にオープンした。地元の主婦弓田祐代(さちよ)さん(51)が自宅の車庫を改装して人工壁を設置。発達障害のあった亡き長男の「子どもにクライミングの楽しさを伝えたい」との遺志を継ぎ、親子で安心して遊べる場を目指す。 (井上峻輔)

 車庫内のジムには、無数の突起物が付いた高さ二・八メートルの人工壁が三方向を囲むようにそびえる。床には軟らかいマットが敷かれ、利用者はロープを付けずに突起を使って壁を登る。

 猿やヘビの絵が描かれた大型突起や、乗り物の形をした小型突起が目立つ。見た目はかわいいが、壁が大きく反り返った部分もある本格派だ。弓田さんは「親子で楽しめるようにした。親御さんも格好良いところを見せてほしい」と笑う。

 ジムの名前は「KSK’S(ケースケズ) ROCK(ロック) CRAFT(クラフト)」。昨年五月、交通事故の後遺症のため二十四歳で亡くなった長男渓介(けいすけ)さんの名前から取った。

 幼い頃から高い所に上がるのが大好きだった渓介さん。小学五年で近隣の体育館にあった人工壁で初めてクライミングを体験すると、すぐにとりこになった。

 車庫内にジムの原型となる人工壁を造り、練習に励んだ。栃木県のクライミングジムにも通って腕を磨き、小六で全国大会七位に。その後もクライミング漬けの日々が続いた。

 発達障害のあった渓介さんは他人とのコミュニケーションに苦労する場面もあったが、クライミングの実力を付ける中で周囲に認められ、多くの仲間ができた。「子どもたちにクライミングの楽しさを伝える」との夢も抱くようになった。

 「息子はクライミングに助けられた」と考えていた弓田さん。不慮の事故で渓介さんを失った後、すぐにジム開設の準備を始めた。

 渓介さんに障害があったことに加え、知り合いの障害児の母親たちから「子どもを思い切り遊ばせられる場所がない」という声も聞いていた。ジムを「障害児専用」にするのは自然な流れだった。弓田さんの願いは「親子で安心して遊べ、親が肩の荷を下ろしてもらえる場所であること」だ。

 発達障害や知的障害に限らず、身体障害の子どもも受け入れている。利用は完全予約制。料金は一時間で未就学児千五百円、小学生以上二千円。問い合わせは弓田さん=電090(6516)5162=へ。

 

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