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【社会】

国家権力=ライオン、憲法=ライオンの檻 ぬいぐるみ使った講演 全国で人気

動物のぬいぐるみを使って講演する楾(はんどう)大樹さん=埼玉県上尾市で

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 国家権力が「ライオン」なら、ライオンが暴れないように枠をはめる「檻(おり)」が憲法−。広島市の弁護士楾(はんどう)大樹さん(43)が、動物のぬいぐるみを手に憲法を分かりやすく解説する講演が人気だ。二〇一五年から全国で約二百二十回登壇してきた。楾さんは「安倍政権下のここ五、六年、安全保障関連法の成立や改憲の動きなど問題が多い。最低限憲法の初歩を伝えたい」と訴える。 (山本哲正)

 「ライオンを契約書で縛る。これが立憲主義。檻の範囲で政治をしてくれれば私たちは安心して暮らせます」。今月一日、埼玉県上尾市で講演した楾さんは、小学生の親子ら約五十人を前に、檻に見立てたかごをライオンのぬいぐるみにかぶせてみせた。

 ぬいぐるみを使った講演を始めたきっかけは一三年、改憲発議の要件を過半数に下げる「九六条改憲」議論に危機感を抱いたからだ。SNSや講演で立憲主義の大切さを説いたものの、「難しいことを分かりやすく話すのは難しい」。悩んでいたある日、ふと「檻の中のライオン」が頭に浮かんだ。「これで語ると憲法や時事が一通り分かる」と喜んだ。

 九六条改憲は「ライオンが自分の入れられた檻を軟らかくしたいと言ってる」「気を付けていないとライオンは檻の外に出たがる」。講演で実践すると笑いが起きた。こうしたたとえ話で構成した憲法入門書「檻の中のライオン〜憲法がわかる46のおはなし〜」(かもがわ出版)を一六年に出版した。初版は三千部だったが、簡明な内容が評判を呼んで現在十一刷約一万六千部に達する。

 講演や出版活動の中で楾さんの関心は、憲法の初歩が広く知られない理由の探求に向かった。小学六年の社会科教科書を調べると気掛かりな点が幾つかあった。例えば、基本的人権を守らなければいけないのは誰か? 大手の教科書は「わたしたちは、憲法の定める権利を正しく行使するとともに(中略)国民としての義務を果たしていく必要があります」。楾さんは「別の教科書も『私たち』かのように書いていた。その前に国家権力に私たちの人権尊重を命じている点をきちんと書かなければならない」と批判する。

 今年九月には、絵本「おりとライオン」(かもがわ出版)を出版した。文章は楾さん、絵はイラストレーターの今井ヨージさんが手がけた。全編ストーリー仕立てで、横暴なライオンを檻に閉じ込めるまでを描く。楾さんは「学校での主権者教育にも役立ててほしい」と期待する。

 自民党は、自衛隊明記などの同党改憲案の今国会での提示を断念し、安倍晋三首相が目指す来年夏の参院選までの国会発議は困難な情勢になっている。楾さんは「政治家も国民も、憲法をよく知らないうちに変えるのは理性的ではない。ライオンが自ら檻を広げたがる動きに、国民の側は一人一人自分の頭で考え『大丈夫かな』という目を向けないと」と話している。

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