東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

酔客の「落とし物」 マシンで処理 JR子会社、来年2月にも配備

嘔吐物回収機の試作機を実演する東日本環境アクセスの社員=東京都台東区で

写真

 忘年会に新年会とお酒を飲む機会が増えるこの季節、迷惑なのが酔っぱらいの“落とし物”だ。一晩で何十回も嘔吐(おうと)物を処理をする駅もあり、駅員や清掃スタッフを困らせている。そこで駅の清掃を請け負うJR東日本の子会社・東日本環境アクセス(東京都台東区)が画期的なマシンを開発した。一月下旬に商品化され、早ければ二月にもJRに配備される見込みだ。

 JR約四百駅の清掃、管理をする同社は、自称「日本一、嘔吐物を処理している会社」。一般的には標的におがくずをふりかけ、ほうきとちりとりで回収し、床を消毒する。これら一連の作業をスピーディーにやれるのが、同社と環境機器メーカー蔵王産業(江東区)が共同開発した嘔吐物回収機だ。

 マシンは縦型の掃除機のような形。標的に「アクセスクリーン」という同社が開発したおがくずより吸水力がある白い紙粒をふりかけ、掃除機のように吸い取るだけ。同時にノズルから消毒液が噴射される。タンクにはゴミ袋がセットされており、ポイっと捨てればいい。回収機本体には高性能フィルターが使われており、嘔吐物に含まれたウイルスを外に逃さないという。

 五十年以上不変だった嘔吐物処理に革新が起きた背景には、高齢化と求人難という今日的な問題がある。東日本環境アクセスの担当者は「ベテランのパートは処理に慣れているが、いずれ退職してしまう。若い人たちは嫌な仕事だと辞めてしまう」。海外では水で洗い流すだけのところもあり、日本式処理に慣れない外国人スタッフが「嫌がらせ」と誤解したケースもあったという。「外国人を雇用することも増えたので少しでも心理的負担を減らし、気持ちよく働いてもらいたい」と開発に着手した。

 実際に駅で試作機をテストしたところ、わずか三十分で狙う嘔吐物が見つかったというから駅関係者の苦労がしのばれる。飲食店や、ノロウイルスの感染が心配される保育園でも需要はありそうで実用化が待たれる。ただし、画期的なマシンが生まれても飲みすぎないのが一番なのは言うまでもない。 (宮崎美紀子)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報