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【社会】

勤労統計不正 失業給付など数百億円過少 対象1000万人超、予算案修正

 厚生労働省が行う「毎月勤労統計」の不適切調査問題で、統計を基に算定された雇用保険の失業給付や労災保険などの過少支給額が計数百億円規模に上ることが十日、分かった。誤った手法が十五年前から続いており、当初の見込みより影響が拡大した。対象者は延べで一千万人を大きく超える見通し。根本匠厚労相が十一日に記者会見して謝罪し、調査の実態や不足分の追加支給について説明する。

 厚労省は、過少支給は(1)雇用保険の失業給付が二百数十億円(延べ千数百万人分)(2)労災保険が二百数十億円(延べ数十万人分)−と試算。さらにプログラム変更など関連事務費も百億円以上かかるとみている。ほかに船員保険の過少支給もある。

 財務省は追加支給に充てる財源を確保するため、昨年末に閣議決定された二〇一九年度予算案の修正に着手した。政府は閣議決定をやり直す方向で調整に入った。一度決めた予算案の組み替えは異例の事態だ。

 政府関係者によると、統計で得られる平均給与額は不適切調査によって、長年実際より低く算出されていた。失業給付や労災保険は平均給与額の変動に応じて見直される仕組みのため、本来もらえる支給額より減額されていたケースが多数確認されている。

 厚労省では昨年、裁量労働制を巡る労働時間調査でも不適切なデータ処理が発覚。統計調査で相次ぐ不祥事に与党からも「極めて遺憾で看過できない」(公明党の北側一雄中央幹事会会長)と批判が上がっている。

 勤労統計で調べる賃金や労働時間の動向は、国内総生産(GDP)の算出にも活用される重要な経済指標。他省庁の政策にも反映されているため、さらに影響が拡大する恐れもある。

 勤労統計調査では従業員五百人以上の大規模事業所は全て調べることになっている。だが東京都内では大規模事業所約千四百カ所のうち三分の一程度しか調べていなかった。都内の大企業は比較的賃金が高いところが多いため、調査対象を減らしたことによって集計後の平均給与額は実際よりも低くなっていた。

<毎月勤労統計調査> 賃金や労働時間、雇用の変化の動向を迅速に把握するため、厚生労働省が都道府県を通じて毎月実施し、公表している。調査項目は1人当たりの基本給や残業代など。常時5人以上を雇用している事業所が対象で、全国約3万3000の事業所を調査。データは雇用保険や労災保険の給付額の算定や、内閣府の月例経済報告など幅広い分野に利用されている。

 

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