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【社会】

iPhone、日本でもロック解除し捜査 本人了解なく民間企業に依頼

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 米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のロック機能を、日本の捜査当局が民間企業の協力を得て解除し、事件捜査に活用していることが二日、捜査関係者への取材で分かった。ロック解除を巡っては、アップルが二〇一六年、個人情報保護を理由に米連邦捜査局(FBI)の要請を拒否し、FBIは外部協力者に多額の報酬を支払って解除させたことが話題になった。日本の当局も、同様の措置を取っていたことが判明した。

 スマホからのデータ抽出は捜査に不可欠となっている一方、事件と無関係の個人情報も大量に含まれる上、電話やメールの内容は憲法が定める「通信の秘密」に当たる。事件関係者とは言え、本人の了解を得ない解除は日本でも議論を呼ぶ可能性がある。

 捜査関係者によると、ロック解除に成功したのは、IT機器メーカー「サン電子」(愛知)のイスラエルにある子会社「セレブライト」という。当局は報酬として一個当たり七十万円程度を支払った。FBIは外部協力者が誰か明かしていないが、海外メディアはセレブライトと報じている。

 アイフォーンのロック解除を利用したのは、一七年、福岡県小郡市の住宅で女性と二人の子どもの遺体が見つかり、殺人罪で夫の元警察官が起訴された事件。夫は否認しているという。被害女性のアイフォーンの操作記録を分析し、子ども二人を殺害したのは女性ではないと判断した。

 神戸地裁が今年一月、女性の遺体を切断、遺棄したとして米国籍の男に懲役八年の判決を言い渡した事件では、男のアイフォーンと、韓国サムスン電子の「ギャラクシー」を解除。遺体の隠し方や解体方法を調べていたことを突き止める一方、複数の女性と性行為をした多数の動画データも確認した。

 鳥取県警が摘発した特殊詐欺事件でも、男がATMで現金を引き出そうとした際、正しい暗証番号を入力できなかったことや、他の受け子が二千万円を引き出し、二百万円の報酬を受け取ったなどと書かれたメッセージを発見したという。

 サン電子の広報担当者は取材に「ノーコメント」としている。

◆「情報保護」のアップルと対立

 アイフォーンのロックを巡っては、個人情報の保護を掲げるアップルと、スマートフォン内にある膨大な情報を入手したい捜査当局側が対立している。アップルがロック機能を強化しても、当局の要請を受けた企業が解除に成功している様子が垣間見え、「いたちごっこ」は続きそうだ。

 米国では二〇一六年、銃乱射テロの容疑者が使っていたアイフォーンのロックを突破するため、FBIがアップルに新たなソフトを作るよう要請した。アップルが拒否したため法廷闘争となり、ニューヨークの連邦地裁はアップルを支持。結局、FBIは外部協力者の技術でロック解除に成功した。FBIは百万ドル(約一億一千万円)以上の対価を支払ったと発表した。

 アップルはその直後、個人情報への脅威や攻撃が頻繁で巧妙になっているとして、保護システムを強化すると発表。今回判明した、日本の当局による要請で解除したアイフォーンの中には、システム強化後の機種も含まれていた。

 世界では別のメーカーもアイフォーンの解除サービスを打ち出すなど、技術競争が続いている。

 

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