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【社会】

中学制服、私らしく 中野区、女子にもスラックス

東京都中野区立中学校で導入される女子用スラックスの例=中野区提供

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 中学校の制服(標準服)に女子用スラックスを取り入れる動きが、都内の区立中学校で広まりつつある。四月からは中野区と世田谷区が全ての区立中で、女子がスカートでもスラックスでも自由に選べるようにする。自分の性に思い悩む子どもにとっても、心の重荷を軽くすることにつながりそうだ。 (渡辺聖子、中村真暁、山田祐一郎)

 中野区はこれまで、区立中学校十校のうち五校で女子用スラックスを選ぶことができ、残り五校は希望を受けたら用意する体制だった。部活動での動きやすさや防寒対策など、さまざまなニーズに対応してきた。

 四月から全校で自由に選べるようになったきっかけは、運動好きな小学六年の女子が酒井直人区長に「ズボンをはきたい」と要望したことだった。女子が進学する中学校は自由選択ではなく、区内の校長が協議し、区全体で同じ環境を整えることになった。酒井区長は「多様な生き方、個性や価値観を受け入れることのできる地域社会の実現を目指す」と話す。

 制服の取り扱いは校長が決めるため、二十三区の各区では、申し出があれば個別に対応する方針を採っている。文京、荒川、目黒区でも一部の学校は女子用スラックスを選ぶことができる。学校統合や制服を新しくした時などに導入された。スラックスを選択肢に設けていない区でも、葛飾、渋谷、豊島、港、品川区では申し出を受けて着用を認めた例がある。江東区の一部の学校は「女子がズボンを着用できる」と明記した資料を配布している。

 制服で性別を表記しない学校も出てきている。世田谷区は、今春の新入生に配布するカタログに「男子用」「女子用」と表記しないことにした。区教委の担当者は「性別を表記しなくても、選ぶ際の資料になると判断した」と説明する。同様の取り組みは既に板橋区の複数の学校であり、区教委の担当者は「悩んでいる子が言いやすい雰囲気をつくり、受け止められる体制を取ることが大事」と話す。

 男子がスカートをはくことも、各区とも相談があれば検討するという。

 文部科学省は二〇一五年、都道府県教委に対し、性同一性障害の児童・生徒にきめ細かい対応を取るよう通知を出している。

 メーカーと制服の開発に携わったこともあるお茶の水女子大の内藤章江特任講師(被服心理学)は「それぞれの理由で制服を自由に選べるという狙いが生徒や地域の住民に理解されないと、スラックスをはく女子が偏見の目で見られる可能性がある。区が統一した見解で進める方が理解されやすい」と話している。

 また、千葉県では柏市立柏の葉中学校が昨年四月の開校に合わせ、性別や理由を問わず、生徒が好みの制服を自由に選べるようにした。市教委の担当者は「当時の入学予定の小学校六年生や保護者らと話し合って決めた経緯もあり、導入後も生徒らの評判はおおむね良い」と話す。

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