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【絶景を行く】

春(上)九十九里浜と富士山(千葉県旭市) 夕焼けと白波の中に

写真

 千葉県旭市の台地から三月上旬、夕映えに競演する富士山と九十九里浜。春一番が吹いた翌日で、大気が澄んでいたのだろう。白波が立つ海のうねりは終日、激しかった。日没後、浜の波が湾曲を描いて黄金色に輝いた。街の明かりが灯(とも)りだすと、もやが消えて淡い幻想的な富士山が姿を現した。春一番の思いがけないプレゼントに感動した。

 撮影地から富士山までの距離は百九十キロ弱。隣の低山は丹沢山地。東京都心から見ると富士山の前に大きく立ちふさがる山々もここでは小さいのに驚いた。富士山が見られる最東端は、撮影地の約十キロ東の銚子市内からで、距離は約二百キロだ。

 この日は地元の写真愛好家が四人いた。「夕焼けで色を染めた浜の波は今年一番良かった。富士山が春に見られるのは珍しい」と満面の笑みだった。富士山は千葉市街と羽田空港を結ぶ直線上に位置する。見える確率が高いのは年末年始という。

 千葉県木更津市役所は一九六九年から富士山を毎日観測し、見えた日を記録している。九〇年から二〇一五年までの年平均は五四・六日。市役所のホームページで閲覧できる。市役所から富士山までの距離は百十キロ弱。銚子市まではさらに遠いため、この日数より減少する。

 太平洋に面した九十九里浜の風景は日の出のイメージだが、実は夕日も素晴らしい。富士山との競演は長年の夢だった。春一番から贈られたこの一枚に至福の時を感じた。

(堀内洋助)

 ◇ 

 のどかな春の「絶景」を、毎週木曜日に「探鳥」を連載する堀内洋助カメラマンが撮影しました。三回にわたってお届けします。

◆撮影データ

 ニコンD850 AF−Sニッコール80〜400ミリf4.5〜5.6 8分の1秒 絞りf5.6 ISO800

◆交通アクセス

 車は千葉東金道路から圏央道経由で銚子連絡道路の横芝光インターチェンジで降り、国道126号で約60分。公共交通機関はJR総武線旭駅から千葉交通バス陣屋町または双葉町行きに乗り約25分で「灯台入口」下車、徒歩約20分。台地を登った小道から見られる。バスは約2時間に1本。帰りは「灯台入口」バス停発19時5分が最終(平日のみ)。

 同バス停から徒歩約15分には、太平洋と九十九里浜を一望する有名な観光スポット「飯岡刑部(ぎょうぶ)岬展望館〜光と風〜」と灯台がある。ここからの富士山もいい。

 <ほりうち・ようすけ> 1954年松山市生まれ。中央大卒。82年、中日新聞社(東京新聞)入社。「富士異彩」と「渡良瀬有情」取材班で新聞協会賞を受賞。本紙に写真企画「探鳥」を連載して22年目に。著書は「再生の原風景」(東京新聞出版部)など。

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