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【いま読む日本国憲法】

(54)第92条 地方行政 住民の意思で

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 九二条〜九五条の第八章は地方自治について定めた章です。地方自治の規定がなかった旧憲法と比べて地方自治の意義を重視していると言えますが、四カ条しかないのは物足りないという声もあります。

 地方自治の基本原則を定めた九二条も、「地方自治の本旨」という表現が分かりにくいと、よく指摘されます。一般的に地方自治の本旨とは、地方自治体が国から独立して地方行政を処理する原則(団体自治)と、住民の意思と責任に基づいて地方行政を行う原則(住民自治)を指すと理解されています。

 例えば沖縄県は、この原則を踏まえ、住民の意思に反して米軍基地負担が集中する現状は「憲法で保障された地方自治の本旨にもとる」と訴えています。

 自民党の改憲草案は、地方自治の本旨の意味を明確にするとして、「住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施すること」などと位置づけました。自治体を「基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体」の二層制とすることや、国と自治体は「法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない」との規定も新設しました。

 国会の憲法論議では、この草案について、地方自治を「住民に身近な行政」に限定するもので、国の政策に自治体が意見表明することを封じてしまうとの懸念が出ました。国と自治体の協力義務についても、自治体が関与できない法律による役割分担に自治体を従わせるもので、「戦前の中央集権体制に回帰する」との批判があります。

     ◇

 憲法の主な条文の解説を、随時掲載しています。

◆自民党改憲草案の関連表記

 九二条

(1)地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。

(2)住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う。

 九三条

(1)地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体とすることを基本とし、その種類は、法律で定める。

(2)地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。

(3)国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない。地方自治体は、相互に協力しなければならない。

 

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