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【政治】

安保法運用 参院選後に 安倍政権、争点化避け 先送り

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 安倍政権は、三月末までに施行される安全保障関連法で解禁される自衛隊任務の追加や、対米協力の拡大に必要な国会承認案件の提出について、夏の参院選後に先送りする方針を固めた。世論の批判が強い安保法の是非が参院選直前の国会で再び焦点となり、与党に不利に働くのを避ける狙いだ。国会で安保法は違憲だと指摘されても、政権は廃案や慎重審議を求める声に耳を貸さなかったが、急いで成立させる必要があったのか。 (横山大輔)

■転換

 他国を武力で守る集団的自衛権の行使や戦闘中の他国軍への支援を可能にする安保法のうち、政権が最初に適用しようとしているのは、南スーダンで自衛隊が道路整備などに従事している国連平和維持活動(PKO)での新任務だ。離れた場所で襲われた他国部隊や民間人を助ける「駆け付け警護」が解禁され、任務の遂行を目的とした武器使用の範囲が拡大されるため、五月の部隊交代時にも駆け付け警護を追加することを検討してきた。

 だが、中谷元・防衛相は新任務の追加に必要な部隊行動基準の見直しや計画策定、訓練は「拙速を避け慎重に進める」と指示。防衛省幹部も「武器の使用など複雑な状況に直面する隊員に対し、十分な訓練をする必要がある」と指摘し、五月の任務追加を見送る姿勢に転じた。

■回避

 安倍政権は、安保法で新たに可能となる弾薬の提供など、米軍への支援範囲を拡大するための手続きも参院選後に先送りする。安保法に沿った対米支援を自衛隊の任務に加えるには「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」を改定し、国会で承認を受ける必要があるが、四日召集の通常国会には提出しない方針だ。

 協定は、米軍と自衛隊の間で物品やサービスを相互に提供する取り決め。現在は日本周辺での紛争や日本が他国から攻撃を受けた場合、災害が起きた時に燃料提供などを行う内容で、改定では日米共同の警戒監視活動や弾道ミサイル対処時にも広げ、弾薬提供などを追加する。

■凍結

 安倍政権は当初、日米間で改定案に合意して昨年秋の臨時国会に提出する方針だったが、安倍晋三首相の外交日程が立て込んでいることを理由に臨時国会を召集しなかった。通常国会では、二〇一六年度予算案の審議が優先され、改定案を提出しても審議入りは四月以降の見通し。政権内には「参院選前に安保法が再び議論になることは避けたい」(自民党国防関係議員)、「参院選前に無理する必要はない」(政府関係者)との声が強まった。参院選後までは米軍への物品提供の拡大は事実上、凍結することになる。

 首相は安保法の国会審議で「安全保障環境が変わる中で、一日も早く成立させたい」と主張し、採決を強行。成立時には、世論の理解が進んでいないことを認めて「今後も誠実に粘り強く説明していく」と強調したが、安保法を参院選の争点にはしたくない考えだ。

 民主、共産両党など主要野党が安保法廃止を視野に統一候補を擁立する調整に力を入れる一方、安倍政権は国民への説明と議論を避けようとしている。

 

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