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【政治】

障害者新法 生かせぬ恐れ 「差別解消」4月施行

 障害者差別解消法が四月から施行される。不当な差別を禁止し、必要な配慮をするよう義務づけていて、障害者政策を大転換する内容。しかし法成立から二年半たつのに、省庁の中には法律で義務づけられた指針を民間事業者に通知していないなど、政府の対応は遅れている。このまま事業者への周知が進まなければ、法律が現場で適用されず、障害者の要望が実現しない事態になりかねない。 (城島建治)

 法律は二〇一三年六月に成立した。国の機関、地方自治体、民間事業者に対し、不当な差別的対応を禁止した上で、合理的な配慮(その場で可能な配慮)を義務づけた。法の趣旨を周知するには時間が必要との理由で、施行は約三年後になった。

 合理的な配慮とは、例えば車いすを利用する人に建物入り口に段差スロープを設置すること。負担が過重にならない範囲で、障害者の要望に対応しないといけない。行政機関は法的義務、民間は一律に対応できないとして努力義務にしたが、違反を繰り返せば罰則の対象になる。

 具体的な対処方法を示すため、法律は関係する十五省庁がそれぞれ、民間向けに対応指針をつくるよう義務づけた。障害者と日常生活で接する事業者が柔軟に対応できなければ、障害者の望む社会生活の実現は難しいからだ。

 国土交通省は一五年十一月に公表した鉄道事業者向けの指針で、差別的な対応例として「盲導犬、介助犬の帯同を理由に乗車を拒否」と明記。合理的な配慮例に「筆談や読み上げなど、窓口で障害の特性に応じたコミュニケーション手段で対応する」と挙げた。

 省庁が指針を示す時期について政府は一五年三月ごろとしていた。だが一六年に入っても消費者庁は示していない。環境省は一月六日にようやく動物園やペットショップなどの事業者向け指針をホームページに掲載したが省内の手続き中で実際の通知は来週以降だ。

 同法を所管する内閣府は「指針の周知が遅れているのは事実。関係省庁に徹底する」と強調する。内閣府には障害者から電話などで「法律の周知が不十分」などの指摘が相次ぐ。

 政府に法律制定を働きかけてきた十三の障害者団体でつくる「日本障害フォーラム」にも、民間から「どう対応すればいいのか」といった問い合わせがある。同フォーラムは「周知が進んでいない。政府が率先して取り組んでほしい」と求める。

 二〇年東京パラリンピックには世界各国から障害者が応援に訪れる。開催国として十分な対応をするには、事業者や国民の理解が欠かせない。

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