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【政治】

「潔さ」「無念さ」演出 甘利氏辞任後 内閣支持率アップ

 甘利明前経済再生担当相の辞任後、共同通信社が行った全国電話世論調査では、辞任を当然とする意見が多数を占める一方、安倍晋三首相の任命責任を過半数が否定し、内閣支持率は前回に比べて4・3ポイント上昇した。数字に表れた世論の心理を、明治学院大の川上和久教授(政治心理学)に読み解いてもらった。 (聞き手・安藤美由紀)

 −安倍政権の中枢にいた閣僚が辞めたのに、支持率が上がった理由は。

 「一つは『潔さ』。首相が甘利氏をかばい、環太平洋連携協定(TPP)署名式後まで引っ張るかという感じがあったのに、サプライズで辞めた。しがみついて辞めない人が多い中、驚きと同時に潔く辞めたと受けとめられた。志半ばで辞めざるを得ないという甘利氏の『無念さ』も伝わってきた。金銭授受があり、当然辞めるべきだったが、うまく演出され、国民は『安倍内閣けしからん』ということにならなかった」

 −首相の対応が評価されたわけではないのか。

 「首相が評価されたというより、消極的支持の増加ではないか。民主党と維新の党が新党を結成するとかしないとか、(共産党が提唱した)国民連合政府に対応しないとか、野党は相変わらずだめだという失望が、相対的に首相への期待につながった」

 −首相に任命責任はないという声が多かった。

 「甘利氏は政権の中枢で重要な役割を果たしたと強調して報じられた。『そのような人材を登用したこと自体は間違っていなかった』という世論につながったのではないか」

 −今後も安倍政権のリスク管理はうまくいくか。

 「今回は成り行きでうまくいき、浪花節的に収束したというのが本当のところ。政治は情緒に動かされる部分だけではなく、いつもこうなるわけではない」

◆安倍内閣支持率 第1次は負の連鎖

 閣僚の辞任・交代による内閣支持率への影響は、第一次安倍内閣と第二次安倍内閣以降で差がある。

 二〇〇六年に発足した第一次内閣では、閣僚の交代で支持率が下落する負の連鎖が繰り返され、政権の体力が落ちていった。

 〇六年末に政治資金収支報告書問題で佐田玄一郎行政改革担当相(当時、以下同じ)が辞任すると、直後の〇七年一月の支持率は3・6ポイント減。その後「政治とカネ」に絡んで松岡利勝農相が自殺すると、支持率は11・8ポイントも下落した。

 事務所費問題で同年八月に赤城徳彦農相が辞任した後の調査では、支持率は11・5ポイント上がったが、これは内閣改造を挟んでおり、条件が異なる。

 政権に返り咲いた一二年の第二次内閣以降は、今回の甘利明経済再生担当相を含め四閣僚が政治とカネ問題で辞任したが、支持率への影響は小さい。一四年十月の小渕優子経済産業相、松島みどり法相の同時辞任後の調査では、1・2ポイントの下落。一五年二月に西川公也農相が辞任した後は、今回と同様に上昇(1・2ポイント)している。 (篠ケ瀬祐司)

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