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【政治】

機動隊「無表情」で市民排除 重なる「本土の無関心」

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 国と沖縄県の双方が、名護市辺野古(へのこ)への米軍新基地建設をめぐり訴訟を起こしている。名護市内では、工事に反対する市民の抗議行動が続く。現場で何が起きているのか。昨年末に約一カ月間、沖縄を取材したフリージャーナリストの木佐美有(きさみゆう)さん(35)に語ってもらった。 (聞き手・篠ケ瀬祐司)

 −印象的だったのは何か。

 「機動隊員や海上保安官の目だ。二十代、三十代の機動隊員らは、感情を表に出すことを禁じられているような無表情で、工事車両を止めようと座り込む市民を排除していた」

 −それでも市民は毎日抗議を続けている。

 「『これ以上、沖縄に米軍基地はいらない』『(埋め立てで)大浦湾の自然を壊さないで』と米軍キャンプ・シュワブのゲート前で声を上げ『私たちの誇りが踏みにじられるのが許せない』とカヌーで海に出ていく。新基地はいらないとの強い決意、自分たちの歴史や文化、自然への誇りに支えられた強いアイデンティティー(主体性)を感じた」

 −機動隊員の無表情と市民の決意との差が大きい。

 「東京出身の私も含めて『本土(沖縄県以外の地域)』の人間は、沖縄の基地反対運動をどうとらえているか。日本の安全のために仕方がない、国が決めたことだからどうしようもないと考える人が多いのではないか。そうした『本土』の無関心や、東京大の高橋哲哉教授が著書で指摘している無意識的な沖縄差別は、機動隊員の無表情さと重なると気付いた」

 −政府は「辺野古への移設が唯一の選択肢だ」と繰り返している。

 「辺野古でなければならない必然性を十分示さないまま、新基地に反対する市民を弾圧していないか。地域分断政策をとっていないか。関心を持ち、自分の問題ととらえて考えてほしい。今、大浦湾の自然やジュゴンにまつわるドキュメンタリー映像の制作に取り組んでいる。新基地反対の様子も織り込む。辺野古の現実を知ることが、より多くの人が自分の頭で考え、意見を持てる社会に変わるきっかけになればと思う」

<きさみ・ゆう> 1980年東京生まれ。ネットメディア勤務などをへて、フリージャーナリスト。東京電力福島第一原発事故の被災地や辺野古新基地建設の抗議現場を取材し、海外への発信にも取り組む。

 

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