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【政治】

参院選4つの争点<くらし・アベノミクス> 世代超え広がる格差

 7月10日投開票の参院選は、くらし・アベノミクス、安保法制、原発、憲法が主要争点となる。前回民意が示された2014年衆院選以降、何が変わり、今回の選択はどんな「明日」につながるか。18歳選挙権導入を踏まえ、若い世代の目線を交えて検証する。 

 東京大教養学部二年、島田了輔(りょうすけ)さん(19)は高知市の母子家庭に育ち、中学一年から生活保護を受けた。保育所などで非正規労働を続けてきた母親の年収は、多くて百数十万円。「地方は正社員の仕事が少ない。非正規でいくら働いても苦境から抜け出せるはずがなかった」

 高校に入ると給食がなくなり、一日一食も保証されない生活に。一三年に政府が生活保護費を減額したことが響き、一日の食事がカップ麺一個という日も。修学旅行も参加できなかった。猛勉強を重ね、無利子の奨学金を得て大学に入れたものの、母親は依然、地元で生活保護を受ける。

 高知県の最低賃金は今も全国最低の時給六百九十三円(一五年度)と、最高の東京都を二百十四円下回る。安倍晋三首相は、同県の有効求人倍率が初めて一倍を超えたと先の通常国会で訴えたが、求職者の県外流出が原因との指摘も。経済再生を訴える首相に「いつか暮らしが良くなる」と期待していた島田さんは今、こう思う。「僕たちの存在を無視するかのようなアベノミクスに落胆している」

 前回衆院選で首相は「企業がもうかれば雇用は改善し、給料は増え、消費が盛んになって景気が回復していく」と訴えた。選挙で勝利すると、法人税減税など企業優遇政策を進めた。

 その結果、企業の内部留保は一四年十〜十二月期から一年余りで10%増。第二次安倍政権発足前と比べると30%以上増えた。しかし、従業員の給与総額は一年余りで1%の伸びにとどまり、政権発足前と比べると2・7%減った。

 今年の春闘でベースアップ(ベア)は、トヨタ自動車が前年の四千円から千五百円に落ち込んだのをはじめ、大半の大企業で下落。優良企業の労働者さえ賃金が十分に増えていない。景気の先行き不安で企業が守りに入っているためだ。

 低所得層にはなおさら富が行き渡っていない。金融資産を持たない単身世帯は、全体の五割近くまで増えた。大学生の半数が奨学金を借り、生活保護を受ける高齢者は八十万世帯を突破。貧困はあらゆる世代の課題となった。

 首相はアベノミクスを事実上修正し、正社員と非正規の賃金格差を現行の六割程度から八割程度に改善することを掲げたが、企業は賃上げに慎重だ。

 貧困・格差が拡大する中、島田さんは参院選を迎える。「僕にも言いたいことはある。雇用を改善し、教育格差も埋められる候補者がいるか見極める」 (関口克己、我那覇圭)

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