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【政治】

「イクボス」増やそう 全国知事会、全会一致で宣言

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 全国知事会は二十八日の会合で、部下の育児や介護に理解があり、仕事との両立を支援する上司「イクボス」を各都道府県で増やすとした「イクボス宣言」を全会一致で採択した。イクボスは全国の自治体や企業で普及が広まっており、自治体の取り組みを順位付けしようとするNPO法人もある。 (安藤美由紀)

 イクボスは、部下のワークライフバランス(仕事と生活の両立)を支援し、自らも私生活を楽しむリーダー。黒岩祐治・神奈川県知事が今年七月、知事会としての宣言を提案した。九月には東京都の小池百合子知事がイクボス宣言した。

 知事会の宣言では「全国の都道府県知事は、自らもイクボスとなり、先頭に立ってこの取り組みを推進します」と誓いを述べた上で「(各)都道府県内にイクボスを増やすため」企業などへの働き掛けを積極的に行うとしている。

 宣言を受けて各知事は、長時間労働の是正や男性の育児・介護参加などの施策を各都道府県で推進する。山田啓二・全国知事会長(京都府知事)は記者会見で「少子化、人口減は行政として絶対に放置できない。イクボス宣言で、知事会として率先して(対策を)やっていく意思疎通ができた」と強調した。

 これに関連し、イクボスを推進するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(東京都千代田区)は本紙の取材に、来年四月から「イクボス自治体ランキング」の調査に着手すると明らかにした。

 現段階の構想では、全国の自治体を(1)首長自らイクボス宣言をしている(2)イクボス研修を行った(3)イクボスの表彰制度を設けている−などの項目で採点。六月ごろ順位を発表し、イクボス普及を後押しする考え。

◆「育児の経験で部下は伸びる」企業にもメリット

 NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)によると、イクボス普及に賛同する企業のネットワーク「イクボス企業同盟」には二十八日現在、百十七社が加盟。首長や幹部職員がイクボス宣言をした自治体も、全国で百前後に上る。安藤哲也代表理事(54)は「企業も自治体も人材不足。働き方を変えて生産性を上げようと、イクボスが注目されている」と話す。

 安藤氏によると、企業同盟には金融、流通、食品メーカーなど幅広い業種が加盟。これとは別に、中小企業の同盟や、リフォーム業界など特定の業種による企業同盟も発足し、勉強会などに取り組んでいる。

 育児に積極的な男性「イクメン」という言葉は二〇一〇年ごろから定着してきたが、「子どものために定時退社したり、休みを取ったりしにくい」という声は多い。男性の育児参加を進めるため、上司の意識改革を促そうと、FJは一四年三月「イクボスプロジェクト」を始めた。

 企業などを対象に行う研修では、意識改革とともに、業務の効率化を重視。安藤氏によると、会議を減らせば会議用の資料を作る手間が減り、社内連絡のメールも簡略化すれば仕事量を減らせる。その結果、部下が早く帰宅したり育児休暇を取得したりしても業務に悪影響はなくなる。

 それどころか、部下が育児や介護、家事を経験すれば「企業はもうかる」と安藤氏。「時間の管理や段取りがうまくなり、マネジメント能力が身に付く。商品開発にも消費者目線が生かされる」と説明する。

 育児、介護をしない独身の社員らも、早く会社を出てやりたいことをやれるようになれば「魅力的な人材になる」と指摘。イクボス自身も趣味を持ち、積極的に休みを取れば「理想の上司として尊敬される」と勧めている。 (北條香子)

 

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