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【政治】

TPP発効見通しなく承認 トランプ氏、2国間交渉の意向

 環太平洋連携協定(TPP)は、九日の参院本会議で与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、承認された。関連法も成立した。TPPの発効には、交渉参加十二カ国のうち経済規模が大きい日米両国の承認が必要だが、米国のトランプ次期大統領が就任直後の脱退を表明し、発効の可能性が事実上消滅している中での承認となった。トランプ氏はTPPで国内の産業が不利益をこうむるとして、代わりに二国間交渉に軸足を移す考えを示している。

 参院本会議の採決では、民進、共産、自由、社民四党が反対。日本のこころを大切にする党は賛成した。

 通常国会から始まった審議では、交渉過程の情報開示を巡り、政府の後ろ向きな姿勢が問題となった。また、農業や食の安全など幅広い分野で懸念が示されたが、議論は深まらなかった。発効の可能性が事実上ないにもかかわらず、政府・与党は国民に十分な説明をしないまま承認を急いだ。

 九日の参院本会議に先立ち、安倍晋三首相は参院TPP特別委員会で「発効が不透明になっても、公正な経済圏を作るという戦略的な意義を世界に発信する」と承認の意義を強調した。

 TPPは参加国間の貿易と投資の自由化に加え、サービスや知的財産のルールを決める包括的な経済連携協定(EPA)の一種。国内総生産(GDP)で世界の約四割を占める巨大経済圏を目指す。

 関連法は、TPP承認に合わせた国内法の整備と影響を受ける畜産農家の支援策など計十一本の法改正。ほとんどが施行日をTPPの発効日としており、施行の見通しは立っていない。

◆トランプ氏脱退明言

 安倍政権はTPPの国会承認で、自由貿易の拡大を今後も進める考えだ。トランプ次期米大統領が脱退を明言し、発効に向けた展望がない一方で、国内にも反発が強かった関税や非関税障壁の緩和といった合意事項は、今後、TPPに代わる二国間交渉が日米で進んだ場合の基準となり、さらなる譲歩を求められる可能性がある。

 安倍晋三首相は国会答弁で、TPP承認の意義を「TPP並みのレベルの高いルールを、いつでも締結する用意があるとの意思を示す。他の交渉を加速させる力となる」と述べてきた。日本政府はコメなど今後も関税を維持する「聖域」はTPP交渉の末に守ったとしている。首相の答弁は、これ以上の譲歩はしないとの決意を強調したものだ。

 だが、国際情勢を見ると、首相の言葉を額面通りには受け取れない。

 トランプ次期米政権はTPP脱退を実行した後、二国間交渉を進める意向。米国は日本の約四倍の経済力を背景に、TPPを上回る自由化を迫ってくることは避けられない。過去、日米の二国間貿易交渉は自動車や繊維などで、日本が譲歩してきた歴史があり、今後もそれが繰り返されないとも限らない。 (清水俊介、横山大輔)

 

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