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【政治】

対象犯罪 矛盾そのまま 「共謀罪」与党審査検証

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 政府は昨年末、与党に「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の概要を示した。対象犯罪は六百七十六で、過去の法案の六百十五より増えていた。

 「世論は(同法案の必要性の議論に)追い付いていない」。周囲にそう話していた公明党幹部は処罰範囲が広すぎると判断。外務、法務両省の担当者に「安倍晋三首相は二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックのためにテロ対策が必要だと言った。テロ関連の罪だけでいい」と強く指示した。

 政府担当者が「国際組織犯罪防止条約を批准するために懲役・禁錮四年以上の罪を一律に対象にした。ただ、処罰対象を『団体』から『組織的犯罪集団』にするなど厳格化したから問題ない」と説明しても、公明党幹部は譲らなかった。

 政府が二月末、正式に与党に示した法案の犯罪数は二百七十七。大幅削減したことで、過去の政府説明との矛盾が生じた。

 二月二十八日から審査を始めた自民党法務部会では「条約解釈上、びた一文まけられないと言っていたはずだ」「ウソをついたのか? 無知だったのか?」と批判が相次いだ。

 外務省は「以前は条約批准ができないリスクを避けた」と同省の判断で六百超にしたと説明した上で謝罪した。自民党総務会でも、「バナナのたたき売りのようだ。場合によっては百にもなるのか。これで国民を説得できるのか」と怒号が飛んだ。

 政府は「犯罪の内容に応じて選別することは、条約上できない」とした〇五年の答弁書は「変更しない」としている。対象犯罪削減との矛盾は解消されていない。

 国会審議に持ち越された疑問はまだある。

 自民党法務部会では、過去に大学サークルが集団で女性を乱暴した事件に触れ「警察はサークルをことごとくチェックするのか」との質問が出た。

 法務省の出席者が「サークルは実行に向けての指揮命令系統がないので該当しない」と答えても、ある議員は納得できず「体育会系なら指揮命令系統はある」と指摘した。

 事前審査で、法務省は「暴力団による資金集めや勢力拡大を目的にした犯罪は同法案の処罰の対象だ」などと暴力団を例にした説明を多用。処罰対象の中心を、国際的なテロリストに置いていない実態がにじんだ。「君たちは正直すぎる」。自民党議員からため息がもれた。

 

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