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【政治】

受動喫煙防止進まず WHOが対策要求×自民党内に反対論 

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 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの開催に向けた政府の受動喫煙防止対策が進んでいない。世界保健機関(WHO)は日本に対策の強化を要求。政府は今国会に規制を強化する健康増進法改正案の提出を目指すが、自民党内から反対論が噴出している。(中根政人)

 厚生労働省は昨年十月、受動喫煙防止対策の原案を発表した。公共施設や飲食店を原則として「屋内禁煙」にして、違反者に罰則を科す内容。

 規制強化の背景には、国際的にみて日本の取り組みの遅れがある。WHOのたばこ規制枠組み条約に加盟している日本は、対策を強化する必要がある。

 WHOと国際オリンピック委員会(IOC)は五輪開催国の責務として「たばこのない五輪」の推進を要求。直近三回の夏季五輪開催国となった中国、英国、ブラジルは、国全体もしくは開催都市で飲食店やホテル、運動施設などの屋内を全面禁煙にした。

 だが、自民党は厚労省案に対し、議員約二百八十人でつくる「たばこ議員連盟」(会長・野田毅元自治相)を中心に反発。二月の党厚労部会では、葉タバコ農家や飲食店団体などの支援を受ける議員から「たばこを吸う人の権利を認めないのか」「小規模飲食店が経営危機に陥る」など反対意見が相次いだ。

 これを受け厚労省は三月初旬に修正案を提示。飲食店規制のうちバーやスナックは、面積三十平方メートル以下の小規模店舗なら喫煙を認めた。喫煙室を設けるスペースがないとの配慮からだ。

 しかも、五輪会場となるスタジアムなどの運動施設でも、コンサートなどに使える「興行場」に該当する場合は、屋内への喫煙室設置を認めた。これでは五輪開催国としての世界基準を下回る。

 それでも反対派は納得せず、飲食店を「喫煙」「禁煙」「分煙」の表示義務にとどめたい考え。「喫煙」との表示があれば、たばこが嫌いな人は店に入らず、受動喫煙する心配がないとの理屈だ。だが、塩崎恭久厚労相は「(修正案の変更は)一切考えていない」と拒否している。

 日本禁煙学会理事長で日本赤十字社医療センターの作田学医師は「東京五輪を前に、対策を法制化できないようでは国際的に恥ずかしい。受動喫煙は、たばこを吸わない人の健康障害を引き起こす問題との理解が自民党内で深まっていない」と指摘した。

 

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